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仮想通貨交換業者、3か月顧客放置や返信なしは当たり前? トラブル相談3倍に…17年度
写真はイメージです(Anesthesia / PIXTA)

仮想通貨交換業者、3か月顧客放置や返信なしは当たり前? トラブル相談3倍に…17年度

仮想通貨のトラブルに関する相談が急増している。国民生活センターのまとめでは2017年度に2666件と、2016年度(847件)に比べて3倍以上に増えた。じわじわと認知度が上がってきたが、ビットコインの高騰や仮想通貨交換業者で不正流出事件が起きたことなどで、多くの人が関心を持ち、トラブルに巻き込まれる事態となっている。

国民生活センターによると、実態がわからない投資話をもちかけられたケースが相次いでいる。「仮想通貨のマイニング(採掘)事業へ投資すれば高配当が受け取れる」などと勧誘され、金銭を支払ったところ、連絡がとれなかったり説明どおりの配当がなかったりした。様々な役柄の人物が登場し、架空の話を信じこませる「劇場型勧誘」も確認されている。

●顧客対応はいい加減?

また、交換業者の顧客対応が不十分であることを背景とした相談も多い。国民生活センターが公表した相談事例のうち一部を抜粋すると以下のとおりだ。

<他人のウォレットへの誤入金:埼玉県の30代男性>

(1)仮想通貨購入のため、ネットバンクから交換業者の自分のウォレット(仮想通貨の保管場所)に現金10万円を振り込んだ。振込みには7桁のアカウントIDに続けて自分の名前を入力する必要があるが、その後ウォレットを確認すると入金されていなかった。交換業者に問い合わせると、アカウントIDが誤っており別人のウォレットに入金された。

(2)自分の名前は正しく入力しており、名前が一致していないのに入金されてしまったことに納得できず質問したところ、アカウントが一致すれば第三者の口座であっても入金されると説明された。交換業者は、入金されたウォレットの所有者に返金するよう促したが返事がないという。

<仮想通貨の誤送金:大阪府の30代女性>

(1)仮想通貨を普段使っている交換業者Aから交換業者Bへ送金する際に、誤って交換業者Cへ送金してしまった。交換業者Aへ問い合わせたところ、既に交換業者Cに送金完了しているのでそちらに問い合わせるよう回答があった。

(2)そこで交換業者Cにメールで問い合わせをしたが返答がなかったので、1週間ほど経過した後に再度問い合せたところ、「時間を要するので調査に数か月かかる」という返信があっただけで、その後3か月たっても連絡がない。

●金融庁、業界の発展に危機感

コインチェックで2018年1月、仮想通貨NEMが大量流出するなど、仮想通貨をめぐる「トラブル」は後を絶たない。このため改正資金決済法に基づく立入検査に相次いで乗り出すなど、金融庁は、業界の健全発展に危機感を抱いている。

金融庁による仮想通貨に関するガイドラインでは、交換業者の監督にあたって留意する点を列挙。交換業者に求める「利用者への対応」として、「苦情等の内容に応じ利用者から十分にヒアリングしつつ、可能な限り利用者の誤解と納得を得て解決することを目指しているか」という点を明記している。

それにもかかわらず、丁寧な対応がされていない実態が、国民生活センターのまとめからうかがえる。国民生活センターは仮想通貨の業界団体に対し、利用者の利便性に配慮したアクセス手段を設定すること、苦情処理期間を適切に管理することなどを要望している。

(取材:弁護士ドットコムニュース記者 下山祐治)早稲田大卒。国家公務員1種試験合格(法律職)。2007年、農林水産省入省。2010年に朝日新聞社に移り、記者として経済部や富山総局、高松総局で勤務。2017年12月、弁護士ドットコム株式会社に入社。twitter : @Yuji_Shimoyama

(弁護士ドットコムニュース)

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