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2018年04月23日 09時55分

「浮気調査アプリ」彼女のスマホに無断インストールして逮捕…法的リスクを検証  

「浮気調査アプリ」彼女のスマホに無断インストールして逮捕…法的リスクを検証  
画像はイメージです(naka/PIXTA)

交際中だった女性のスマートフォンに、位置情報を共有できるアプリを無断でインストールしたうえ、ストーカー行為をはたらいたとして、都内在住の男性会社員が4月上旬、不正指令電磁的記録供用罪とストーカー規制法違反の疑いで警視庁に逮捕された。

警視庁によると、男性は今年1月20日、当時交際していた女性のスマホに、位置情報を共有できるアプリを無断でインストールした。その後、今年3月9日から13日にかけて、位置情報を利用して女性につきまとったり、電話をかけた疑いが持たれている。

報道によると、男性は、女性が自宅で寝ている間に、スマホの指紋認証によるロックを女性の指紋を使って解除して、アプリをインストールしていたようだ。女性の位置情報を80回以上取得した形跡があったといい、男性は「カノジョが心配だった」と供述しているという。

●「浮気調査に使えるアプリ」として紹介されていることがある

2人は3月上旬に破局していたが、男性が3月13日、女性に復縁を迫ったうえで、「おまえを殺す」などと脅したとして、すでに逮捕・起訴されていた。

世の中には、交際相手が「他の男と会っているんじゃないか」「夫が浮気しているんじゃないか」と気になってしまう人がいる。そういう人たち向けに「浮気調査に使えるアプリ」などと紹介されている位置情報共有・追跡アプリがあり、その利用も少なくないとされている。

交際相手のスマホに無断で「浮気調査アプリ」をインストールすることは、法的にどんなリスクがあるのだろうか。インターネットに関する法律問題に詳しい木村康紀弁護士に聞いた。

●「インストール」した場合は「民事的」にも「刑事的」にも問題になる

――交際相手(配偶者)のスマホに無断で「浮気調査アプリ」をインストールしたら、どんな法的問題がありますか?

民事的には、プライバシー権を侵害することになりますので、損害賠償を請求される可能性があります。

刑事的には、今回のケースの逮捕容疑にもなっていますが、不正指令電磁的記録供用罪(刑法168条の2第2項)が成立する可能性があります。過去にも逮捕事例があります。

ただ、この点は問題がないわけではありません。

たとえば、子どもの居場所を特定するアプリを浮気調査のためにインストールした場合、アプリがその機能として、端末にその所在地を発信させること自体は「不正な指令」を出しているとはいえず、不正な指令をする電磁的記録(アプリ)を供用(インストール)したといえないのではないか、という点は論点となりえます。

●設定変更の場合は「不正指令電磁的記録供用罪」が成立する可能性は低い

――簡単にスマホ設定を変更するだけで、位置情報を共有できるアプリがあります。たとえば、「ちょっとスマホ見せて」と言って、設定を変えることもできなくはないでしょう。その場合はどうでしょうか?

インストールをしておらず設定を変更する場合であっても、プライバシー権の点は同様に侵害していると考えられます。ただ、新たなインストールはおこなっていないことなどから、不正指令電磁的記録供用罪が成立する可能性は低いと考えられます。

ただ、設定変更によって、アプリ(の管理者)に誤って位置情報を発信させてしまう電磁的記録(データ)を作成等したという意味で、電磁的記録不正作出・供用罪が成立する余地はあります。

参考になる事例としては、システムエンジニア(SE)が、役員宛のメールを無断でプライベートアドレスへ自動転送する設定した事例において、同罪で起訴されたものがあります。

●「離婚」の証拠として使える可能性はあるが・・・

――たとえば夫婦の場合、その浮気調査した結果を離婚裁判に使うことはできるのでしょうか?

違法に収集された証拠であっても、離婚事件では証拠として使えるケースが多いです。

ただ、継続的にプライバシー権を侵害することになる調査方法ですので、権利侵害の程度は比較的大きいと思います。そのため、インストールしたアプリの種類、アプリをインストールした際の状況、期間など、事情によっては、証拠として使えない可能性はあると思います。

――浮気調査アプリを使うことは総じて、法的リスクが高いのでしょうか?

新しい態様の犯罪のため、まだ裁判例も少なく法律の解釈が十分に定まっていません。そのため、捜査機関の解釈次第では逮捕の対象が広くなる可能性もあります。

また、アプリを利用した結果、浮気をしていなかった場合、インストールした側が一方的に責任を負うことにもなります。

無断でのアプリの利用自体が「違法」と解釈される可能性が高いので、その利用を推奨することはできません。

(弁護士ドットコムニュース)

木村 康紀弁護士
企業法務を中心にしつつも、自身の能力が求められる案件であれば分野にとらわれず取り扱う。通常の業務の傍らベンチャー企業からの相談を無償で受けるなどの活動をしている。内閣府への3年間の出向経験もある。

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