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マイナンバー通知カードが盗まれた! 弁護士「知られただけでは何もできない」
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マイナンバー通知カードが盗まれた! 弁護士「知られただけでは何もできない」

今年1月から始まったマイナンバー制度だが、あなたは自宅へ届いた「通知カード」を、きちんと保管しているだろうか。取り扱いに悩むところだが、岡山市では通知カードの詐取事件まで発生した。

報道によると、岡山市内の80代女性は1月初め、自宅を訪れた20代の男性に「郵便局ですが、マイナンバー通知書を受け取りに来ました」と言われ、自分と知人男性の通知カードを渡してしまったという。

マイナンバー通知カードとは、どのような位置付けのものなのだろうか。もし他人に奪われてしまうと、どんな被害が起きうるのだろうか。影島広泰弁護士に聞いた。

●どうしても不安なら、変えてもらう手も

「『通知カード』は、マイナンバーを本人に通知するためのものです。これ単独では、身分証明書として使うことはできません。身分証明書として使えるのは、市区町村に申請して入手する顔写真付きの『個人番号カード』のみです。

通知カードは、行政機関・勤務先・金融機関などに自分のマイナンバーを提供する際に使用するものです。番号を書き間違えていないかどうかを確認してもらうために、提示します。もし通知カードを詐取されてしまった場合でも、慌てることはありません。マイナンバーを知られても、それだけでは何もできないからです」

しかし、盗まれてしまった場合、さすがに不安だ。

「どうしても不安だという方は、市区町村役場に行き、『マイナンバーが漏えいした。不正に用いられる恐れがある』と変更を申請しましょう。認められれば、マイナンバーを変えてもらうことができます。

しかし、繰り返しますが、マイナンバーを第三者に知られても、マイナンバーだけではその第三者は、何をすることもできません。税務署や会社などがマイナンバーを受け取る際には、通知カードに加えて、運転免許証やパスポートなどで必ず『本人確認』しなければならないとされているからです。

マイナンバーの悪用といえば、たとえば社会保険料の不正受給などが考えられます。ところが、もし他人のマイナンバーを持って役所に行ったとしても、運転免許証などがなければ、役所は書類を受け取ることすらしてくれないのです。

このように、マイナンバー制度は、漏えいを前提とした制度設計がされています。もちろん、その前提として、役所が本人確認を行っていることが必要ですから、きちんと運用してもらいたいと思います。

また、我々個人も、マイナンバーが漏えいしてしまうと、『マイナンバーが流出している』と称した『振り込め詐欺』の電話がかかってきたりするかもしれません。ですから、通知カードはなくさないように管理する必要があります」

影島弁護士は、このように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

影島 広泰
影島 広泰(かげしま ひろやす)弁護士 牛島総合法律事務所
2003年弁護士登録。ITシステム・ソフトウェアの開発・運用に関する案件、情報管理や利活用、ネット上の紛争案件等に従事。日本経済新聞の2019年「企業法務・弁護士調査」データ関連の「企業が選ぶ弁護士ランキング」第1位。

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