労働・家事事件に注力〜依頼者の気持ちに寄り添い、事件終了後の人生も見据えた解決を
きっかけは、大学の図書館で手にした一冊の本
ーー先生が弁護士を目指したきっかけを教えてください。
大学の図書館で、一冊の本に出会ったことがきっかけです。「日本は幸福(しあわせ)かー過労死・残された50人の妻たちの手記」という、全国過労死を考える家族の会が編集した書籍でした。
「働きすぎて死ぬことがあるのか」と、ショックを受けました。仕事を辞めたくても辞められず、過労死に至ってしまう人がいる。そして弁護士は、過労死によって家族を失った人を支え、過労死を防ぐための取り組みもできる職業なのだと知りました。
ーー大学の図書館にはよく通われていたのですか?
もともと読書が好きで、大学生のときには図書館の書棚の端から順番に本を読んでいました。今思うと、当時は将来に迷っていて、本の中に答えを探していたのかもしれません。
ーー法学部に入学したときには、弁護士になるつもりはなかったのでしょうか?
法学部に入ったのは、将来どんな仕事に就いても役立つ知識を得られると思ったからです。もちろん司法試験を目指す友人もいたので、全く視野になかったわけではありません。しかし、大学卒業後もアルバイトをしながら弁護士を目指す先輩方の姿を見て、自分にはそこまでの覚悟はないと思っていました。
転機が訪れたのは、就職活動を目前に控えた頃です。何か生きがいになる仕事をしたいと思っていたときに過労死の本を読み、弁護士の仕事に強く惹かれました。ちょうど法科大学院制度ができた時期だったこともあり、「私にもチャンスがあるかもしれない」と思い、ロースクールに入って弁護士を目指そうと決意したんです。
事件を解決し、依頼者の人生を再構築する
ーー弁護士になられてから、特に注力している分野を教えてください。
大学時代に関心を持った過労死問題は、今でもライフワークにしています。実際の事件に取り組んで遺族や当事者を支えるほか、弁護士になったときから「過労死110番」という全国の電話相談の担当を務めたり、学生に向けてワークルールの授業をしたりしています。
労働問題以外では、離婚や面会交流の事件を手がけることが多いです。特に離婚事件は、離婚するかしないか、離婚の条件をどうするか、といった1つ1つの選択が、事件終了後の依頼者の人生に大きな影響を及ぼします。今よりもっと幸せな人生を送るためにはどうすべきかを軸に置いて、依頼者と一緒に解決の方向性を考えていきます。
声に出して共感すること、話を最後まで聞くことを大切に
ーー依頼者のために心がけていることはありますか?
依頼者にこれ以上の心理的負担をかけないことです。
たとえば、不安を抱えて相談に来た方を黒いスーツの上下で迎えたら、余計に緊張してしまうと思うんです。柔らかい印象を持ってもらえるように淡い色の服で迎えるなどして、依頼者にストレスを与えない対応を心がけています。
もう1つは、思っていることを言葉にすることです。依頼者の話を聞いて、心の中で「大変だったんだな」「辛かっただろうな」と思っても、口にしなければ伝わりません。淡々と話を聞くのではなく、共感したらちゃんと言葉で伝えることが大事だと思っています。
ーー言葉で共感してもらえたら、依頼者としても「気持ちをわかってくれた」と感じて、ホッとできると思います。
話を遮らず、最後まで聞くことも大切にしています。途中まで聞いた段階で、「請求として通らないな」と経験上わかることもあります。しかし、「それは難しいですよ」などと口を挟んでしまうと、相談者に「話を聞いてもらえなかった」というわだかまりが残ってしまいます。
依頼者の中には、早く結論を知りたいと思う方もいるかもしれませんが、私は、「まずは話を聞いて受け止め、その後で弁護士としての見解を示す」ということをモットーとしています。
「僕も司法試験を目指します!」感謝の言葉で報われる仕事
ーー弁護士として活動してきた中で、印象に残っているエピソードはありますか?
弁護士になってすぐに離婚事件を受任し、無事に離婚が成立しました。事件終了から数年後、当時の依頼者から連絡があったんです。話を聞くと、息子さんが大学に行くことになり、養育費について相談したいとのこと。ぜひ力になりたいと思い、相談をお受けしました。
もちろん、二度と弁護士に相談するような問題が発生しないのが一番ではありますが、離婚の際に誠実に依頼者と向き合ったからこそ、また問題が発生したときに私を頼ってきてくださったのだと嬉しく思いました。
さらに嬉しかったのは、依頼者の息子さんから「僕も大学に行って司法試験を受けることにしました」と言われたことです。離婚事件での私の対応を見て弁護士を目指そうと思ったそうで、誠実な仕事が報われたと感じたエピソードとして記憶に残っています。
密かな楽しみは、干したての布団へのダイブ
ーープライベートについても伺います。休日はどのように過ごしていますか?
平日にたまった洗濯をします。シーツを洗って、布団を干して、お日様の光をいっぱい吸い込んだ布団に飛び込むのが最高に気持ちいいんです。
また、ピアノが趣味で、数時間弾き続けることもあります。平日はなかなか弾く機会がないので、休日は昼間から心ゆくまでピアノを楽しんでいます。私にとって大切な時間です。
「北海道の過重労働被害なら皆川に」地域の方々に頼られる弁護士になりたい
ーー先生の今後の展望をお聞かせください。
冒険心がないと言われるかもしれませんが、事務所を大きくすることは今のところ考えていません。それよりも、私を頼ってくださる方1人ひとりに対して、真摯に向き合える範囲で仕事を受けたいというのが一番の想いです。
弁護士になってからずっと向き合っている過重労働問題には、今後も関わっていきたいと思っています。「北海道の過重労働問題なら皆川に頼もう」と思っていただけるような弁護士になることが目標です。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
風邪ならば、病院に行かなくても休んでいればそのうち治るかもしれません。しかし、法律問題は時間が経てば経つほど状況がこじれて、解決のための選択肢が少なくなってしまうことが多いです。
悩みや苦しみを長引かせず、今、解決させましょう。早めに相談に来てくだされば、その分選べる道も増えます。
人生において大切なことは、自分が進みたいと思う道を自分で選ぶこと。選択肢が多ければ、きっとその中にご自身が納得できる道があるはずです。
悩みを抱えている方は、ぜひ一度、相談に来ていただければと思います。