- 財産分与
10年後に定年を迎える公務員の夫に対して、離婚する時点で退職したと仮定した場合に支給される退職金900万円について、400万円の財産分与が認められた事例
相談前の状況 依頼者(妻)は、10年後に定年退職を迎える公務員の夫との離婚を検討していました。夫は将来的に退職金を受け取ることが確実視されており、仮に現時点で退職した場合には在職期間20年に相当する約900万円の退職金が支払われる見込みでした。しかし、実際に退職するのは将来のことであり、離婚時点においてこの退職金相当額から適切な財産分与を受け取ることができるのかが問題となっていました。
解決への流れ 弁護士は、離婚時点において夫が退職したと仮定して算出される退職金900万円のうち、婚姻期間17年分に相当する800万円を財産分与の対象資産として主張・請求しました。主張が裁判所に認められた結果、婚姻期間に相当する800万円の2分の1にあたる400万円の財産分与を受ける内容で解決に至りました。
伊藤 昌一 弁護士からのコメント
退職金は「賃金の後払い」としての性質を持つため、婚姻期間中に築かれた退職金相当額には専業主婦として家庭を支えてきた配偶者の貢献が反映されていると評価されます。そのため、実際に退職していない段階であっても財産分与の対象と認められ、400万円の獲得につながりました。
ただし、将来の退職金が常に財産分与の対象になるわけではありません。裁判所で認められるのは、配偶者が公務員や大手企業の社員である場合や、退職時期が数年後に迫っているなど、「将来確実に退職金を受領できる蓋然性が高い」と判断されるケースに限られます。将来の退職金が絡む離婚交渉や訴訟では、相手方の雇用形態や支給の確実性を正確に見極めて主張を展開することが重要です。
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