挫折をバネにして、弱い立場の人に寄り添う弁護士に〜医療過誤事件や借金問題に注力
自分の力で生きるために、弁護士の道を選んだ
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
生まれつき障害があり、大学時代に就職活動で苦労をしたんです。何十社もの企業に断られ、挫折を味わいました。
大学を卒業してから大学院に進み、その後公務員になったのですが、就職活動の挫折がいつまでも忘れられませんでした。挫折を味わったときから「自分の力で生きていくためには、資格を取って手に職をつけなければならない」と考えていたこともあり、心に引っかかったものを取り除くために、公務員を辞めて弁護士を志すことを決意したのです。
ーー障害があることで差別を受けたことはありましたか?
中学までは養護学校(現在の特別支援学校)でしたが、高校からは普通の学校に通い、大学にも行きました。その間に、体のことで差別を受けたことなどありませんでした。だからこそ、就職活動で受け入れられなかったことがショックだったんです。
一番つらかったのは、日本で有数の一流企業の面接を受けたときに、面接官がゴルフウェアを着ていたことです。見るからにゴルフ帰りという様相で、はじめから採用する気などないのが伺えました。
それまで差別など受けたことがなく、「日本はいい社会だ」と思って生きてきたので、「世の中はこういうものなのか」と悲しい気持ちになりました。
その当時に比べ、いまは障害者やLGBTQなどマイノリティの権利が認められる世の中になったと感じています。私自身、障害をハンデとすることなく、弁護士活動を続けられています。
苦労や挫折を経験しているからこそできることがあると思うので、経験を活かしながら依頼者に寄り添った活動をしたいと思っています。
先入観を持たずフラットな気持ちを持つことが大切
ーー注力分野を教えてください。
破産など債務整理に力を入れている事務所なので、借金問題を扱うことが多いです。他に医療過誤にも注力しています。
医療過誤は医学の知識が必要とされ、本を読んだり専門家の話を聞いたりなど、大変なことが多いですが、その分こちらの主張が通ったときの喜びも大きいです。医療事故に遭った本人や家族の気持ちを少しでも和らげたいという気持ちで取り組んでいます。
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
フラットな気持ちで事件に取り組むように心がけています。依頼者に対してもそうですが、事案に対しても先入観を持たず、客観的な視点を持ち続けることが大切だと思っています。
依頼者には感情的になる方もいれば、本音を話してくれない方など、いろいろなタイプの方がいます。どのような依頼者でも冷静に話を聞いて、問題の本質や望んでいることを正確に理解するように努めています。
ーーこれまでの活動で印象に残っているエピソードはありますか?
依頼者に、よく悪態をつく方がいたんです。事件の見通しや方針について話すと、「なんのために弁護士を雇ったと思ってるんだ!」と声を荒げたりして、こちらの話を聞いてくれようとしませんでした。
たとえ悪態をつかれたとしても、甘い見通しを伝えるなど、依頼者に不利益になるようなことはできませんので、根気強く説明を続け、少しでも依頼者の希望に近い形で解決できるように努めました。
無事に事件処理が終わったとき、依頼者が涙を流して「ありがとうございました」と言ってくれたんです。十分な結果を出せたとは思っていましたが、涙を流してまで喜んでもらえるとは思わず、とても驚きました。
依頼を受けてから解決まで1年足らずでしたが、依頼者はそれよりも長い時間、ストレスを感じ続けていたのではないかと思います。長い間抱えてきた問題から解放されたことで、ほっとしたのかもしれません。
相続や離婚など感情が絡む事件は、お金では割り切れない問題があります。依頼者に最大限の利益を提供するだけでなく、心の問題を解決するお手伝いができたことがうれしかったです。
目の前の事件一つ一つに誠実に取り組む
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
家に仕事を持ち帰ってしまうものですから、プライベートと仕事との境目がない状態が続いています。精神衛生上よくないので、変えなければと思っているところです。
気分転換したいときには小説を読んでいます。これまで小説を読むことはあまりなかったのですが、2年ほど前にテレビで紹介されていた直木賞受賞作に興味を持ってから、直木賞受賞作を新しいものから順に過去の作品へと遡って読んでいます。作品の面白さだけでなく、時代の移り変わりが感じられて楽しいです。
ーー今後の展望をお聞かせください。
新しい分野に取り組むよりも、債務整理や医療過誤事件、離婚や相続などこれまで扱ってきた分野で、困っている人の役に立てるように研鑽を積みながら取り組んでいきたいと考えています。
最近は過去に担当した依頼者からの紹介で相談に来てくれる方が増えました。一つ一つの事件に誠実に取り組むことで依頼者との信頼関係が生まれ、縁が広がっていくことを実感しています。これからも、依頼してくれる人の身になって、事件に取り組んでいくつもりです。
ーー最後に、法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
挫折は誰にでもあって、生きていく中で大変な目に遭遇することも誰にでもあることだと思います。私自身も挫折を経験しているので、苦しい気持ちはよくわかります。
苦しい気持ちが少しでも楽になれるようお手伝いしたいと思っていますので、一人で悩みを抱え込まず、気軽に相談してください。