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統一教会の献金被害、16億円求め集団交渉スタート 18都道県の50人、元信者「2300万円持ち去りも」
会見で体験を語った被害者(2月22日、弁護士ドットコム撮影)

統一教会の献金被害、16億円求め集団交渉スタート 18都道県の50人、元信者「2300万円持ち去りも」

全国統一教会被害対策弁護団は2月22日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して、献金など約16億円以上の返金を求めて、集団交渉の申入れをおこなった。

1回目となる今回の集団交渉では、1都1道16県の被害者や相続人50人(男性9人、女性41人)に対する慰謝料を含む16億1129万1822円(損害額:14億6481万750円、慰謝料:1億4648万1072円)の支払いを請求した。被害は壺などの物品購入、献金のほか、不動産を売却させられたなどで、最高金額は約2億2000万円という。

また、統一教会に対して面談に応じるか否かの回答を3月2日まで、損害項目や日時、損害額などについての回答を3月15日までに送るよう求めている。

●夫の入院中に勧誘、13年間で約1億4000万円

弁護団が東京・霞が関で記者会見を開き、明らかにした。会見には、元信者で80代女性(関西地方在住)の被害者も参加。2009年ごろから2022年までで被害総額が約1億4000万円にのぼるという。

女性によると、夫が病気で入院していたころに声をかけられ、セミナーに行くたびに金を請求された。その後も「家に不幸がくる」「先祖が苦しんでいる」などといわれ、献金を続けた。必要があって貸金庫から2300万円を引き出したところ、その場で信者に持ち去られ、献金としてとられたこともあるという。

女性は、涙ぐみながら次のように語った。

「結局、主人は亡くなりました。貯金通帳も空っぽになって。家族には隠れて献金していました。息子に言われて『騙されていたんだ、誰かに助けてもらわないかん』と…。家族にも主人にも申し訳ない。他にも騙されている人はたくさんいました」

女性は、献金をしたことに対する領収書をもらっていないという。弁護団によると、女性の場合に限らず、被害者の損害額は、領収書などがないため、実際に購入した物品や通帳の記録などから推認できた額とのことだ。実際には、さらに多くの損害が発生している可能性があるとみている。

●第2弾交渉も準備、相談は引き続き受付

「献金や寄付、物品購入などの行為は、自由な意思に基づくものでなければならない」とし、正体を隠して組織的に働きかけ、「悩みや不安をことさらに煽り、畏怖困惑に乗じて、献金などの行為をさせること」は違法であり、不法行為にあたるとした。今後も、ほかの被害者の準備が整い次第、新たに第2弾の集団交渉をおこなっていく方針だ。

多額の献金などを余儀なくされてから20年以上が経過した被害者もいる。しかし、弁護団は「不当に植え付けられた教義や『地獄へ落ちる』恐怖などの影響があったために、誰にも相談さえできなかった」とし、旧統一教会に対して、除斥期間や消滅時効を主張することなく、誠実に対応するよう求めている。

【全国統一教会(世界平和統一家庭連合)被害対策弁護団】
ウェブサイト:https://www.uchigai.net/

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