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2018年10月27日 09時05分

「働き方を自分で決められる」と言われるも自由なし…業務委託契約の注意点は

「働き方を自分で決められる」と言われるも自由なし…業務委託契約の注意点は
訴状の一部

アニメや漫画、ゲーム業界の求人サイト運営会社で働き自殺した女性の遺族と元従業員2人が、10月17日に同社と社長に損害賠償などを求めて訴訟を起こした。

会見に臨んだ原告の男性(39)は入社当時、社長から「正社員よりも業務委託の方が税金面などでメリットが多数ある」「時間的拘束がなくていいよ」「働き方を自分で決めることができるよ」などと言われ、業務委託契約を結んだという。

しかし、実際には社長から指示をされていた上、勤務場所や時間も拘束されており「実質的には労働契約だった」と主張している。

こうした「業務委託契約」を巡る相談は、弁護士ドットコムにも多数寄せられている。

ある女性は「労働時間、労働場所、服装などを決められて働いています!業務委託だから残業代も出ないんですが労働時間は13時間以上です、休日も会社が決めています」と相談。給与明細ももらえない状態だという。

どのような場合であれば、労働者とみなされるのだろうか。また、業務委託契約を結ぶことになった人は、どんな点に気をつけて契約書をチェックすればいいのだろうか。

●使用従属関係があるかどうかがポイント

「業務委託契約なのか、それとも雇用契約なのかは、契約書の名称ではなく実態によって判断されます」

労働問題に詳しい村松由紀子弁護士はそう話す。雇用契約なのか業務委託契約なのか、どのような点がポイントになってくるのだろうか。

「労働基準法9条で『労働者』は『職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう』と規定されています。重要なのは『事業又は事務所に使用される』、すなわち、使用従属関係があるかどうかです。

裁判になった場合は、(1)依頼された仕事を断ることができるか、(2)業務の内容及び遂行方法について『使用者』の具体的な指揮命令を受けているかどうか、が重要な判断要素になります。それに加え、勤務場所の拘束があるか、仕事の代わりがいるか等の観点が加味され、判断されることになります」

業務委託契約なのに、仕事の依頼や指示を断れなかったり、労働時間を管理されたりしている場合は、雇用契約とみなされる可能性があるということだ。

●労働者にとってデメリットも

加えて、村松弁護士は「業務委託契約を結ぶことになった人についてですが、本当に業務委託契約を結ぶのが自分にとって良いのか考えてください」と話す。業務契約を結ぶことで、労働者にとっていくつかデメリットもあるためだ。

「業務委託契約の場合は、(1)賃金規制がないため、最低賃金以下の報酬もある上、報酬の値下げもありえる、(2)解雇規制がないため、企業からの突然の契約の解約もありえる、(3)労働時間規制がない、(4)労働保険がないというような大きなデメリットがあります」

こうした特性から、村松弁護士は「(1)専門性がありそれなりの報酬が見込める、(2)ライフスタイルに合わせて自由に仕事をしたいなどの明確な目的がある場合以外は、やめておいた方が無難です」と忠告する。

「報道されている件は、原告が主張されている内容から判断すると、労働者性を肯定される可能性が高いことはもちろん、パワハラに該当する痛ましい事件だと思います。

このような事例は少ないと思いますが、明確な理由なしに、雇用契約ではなく業務委託契約の締結を求める企業は、企業のリスクを減らしたい意図が強い場合が多いので、注意が必要です」

(弁護士ドットコムニュース)

村松 由紀子(むらまつ・ゆきこ)弁護士
弁護士弁護士法人クローバー代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍するほか、社会保険労務士3名、行政書士1名が所属。交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題から企業法務まで幅広く扱う。
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