社員同士の交流の場として、社員旅行を積極的に活用する動きが広がっていると西日本新聞が報じている。どんちゃん騒ぎをする従来の「宴会型」ではなく、学びにつなげる「研修型」も登場しているという。
西日本新聞によると、宴会型の社員旅行については、嫌がる若手社員もいて、参加率も低調だという。その一方で、研修型の社員旅行では、会社の未来について語り合うワークショップなど社員にとっての学びと交流につながるものが多く、重要性が増している。
今後、ますますその役割が見直されることが予想されるが、社員旅行については、経費として考えることはできるのだろうか。佐藤全弘税理士に聞いた。
●レク目的の社員旅行にかかる費用は給与や交際費となり、税金がかかる
社員旅行の費用を福利厚生費などの経費で落とすには、一定の条件のもと、総合的に考え合わせて判定します。
具体的には、慰安旅行と研修旅行とに区別して考えます。まず、慰安旅行については、次の要件を満たす必要があります。
(1)旅行の期間が4泊5日以内であること(海外旅行の場合には、外国での滞在日数が4泊5日以内であること)
(2)旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること。
この場合は、従業員のレクリエーションを目的としていることや、その旅行によって従業員が受ける経済的利益が少額であることなどから、給与として課税せず、経費として落とせます。
上記の要件を満たしていても、役員だけの旅行や取引先の接待等の旅行、金額が高額な旅行の場合などは、その旅行に係る費用は給与や交際費となります(給与や交際費も経費ですが、税金がかかることがあります)。そして、旅行に参加した人の割合がポイントとなります。
ただ上記のいずれの要件を満たしている旅行であっても、課税の必要がある場合があります。それは自己都合で旅行に参加しなかった人に旅行代金に相当する現金を支給する場合です。この場合は、旅行参加者と不参加者のどちらも全員に、その不参加者へ支給した額に相当する「給与」の支給があったものとみなされるので、所得税が課税されます。
●業務を行うのに必要な研修旅行は、給与として課税されない
次に、研修旅行については、会社の業務を行うために直接必要な場合には、その費用は給与として課税されず、経費として落とすことができます。しかし、直接必要でない場合には、研修旅行の費用が給与として、所得税が課税されます。
研修旅行でも、同業者団体の主催する観光目的の団体旅行や、観光渡航の許可をもらい海外で行う研修旅行などは、原則として、会社の業務を行うために直接必要なものとはなりません。税務調査において指摘されて困らないように、業務上の必要性や研修の記録などをきちんと残しておくと良いのではないでしょうか。
【取材協力税理士】
佐藤 全弘(さとう・まさひろ)税理士
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事務所名 : 佐藤全弘税理士事務所
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