従業員「ネット私的利用」で米国企業は10兆円弱のコスト、日本の職場のルールは?
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従業員「ネット私的利用」で米国企業は10兆円弱のコスト、日本の職場のルールは?

職場のパソコンなどで仕事中にネットサーフィンするなど従業員のネット私的利用で、米国の企業は年間850億ドル(約9兆7000億円)ものコストを負わされているという。ウォールストリートジャーナルは、企業の生産性を低下させるだけでなく、ネットワークの通信容量を使い、コンピューターウイルスにさらす恐れもあると警鐘を鳴らしている。

同紙の記事「仕事中の私的ネット利用をやめさせるには」によると、アリゾナ州立大学のチームは、サイトを「従業員が常に訪問できるサイト」「時々訪問できるサイト」「訪問できないサイト」の3つに分類し、仕事に関係のないサイトを訪問した場合には、画面上に警告を出すソフトウェアを開発したという。技術的にコントロールすることで、私的利用を防ごうとする考え方だ。

確かに技術的に防ぐことができるのであれば有効かもしれないが、大事なのは従業員が納得できるルールづくりだろう。記事でも「雇用主が従業員のインターネットの利用法に関する指針を設ける際は、公正さを考慮することが重要だ」と言及している。

仕事中のネットの私的利用については、日本の多くの職場ではどのようなルールになっているのだろうか。福本洋一弁護士に聞いた。

●合理性があれば、モニタリングも許容の方向

「勤務時間中にネットの私的利用を行うことは、労働者としての職務専念義務に違反します。一般的な就業規則では、会社のパソコン、スマートフォン等の電子端末や、ネットワーク等を含めた会社の設備を私的利用すること自体が禁止されていますので、休憩時間中に私的利用を行った場合でも就業規則の禁止規定に違反することになります。

社内における通信に対するモニタリングに関しては、過去にはプライバシー侵害との関係で問題となっていました。しかし、最近ではネットの私的利用が目に余る状態だということで、合理性のある限りは、モニタリングも許容されるという方向に転換されてきています」

違反すれば、どの程度のペナルティが妥当だろうか。

「社内で処分を行う前提として、まずは就業規則や情報システム利用規程等で、私的利用と違反に対するペナルティを定めて、ネットの私的利用に対する注意や警告を行うことが重要です。

実際に懲戒処分を行う場合にも、業務を怠けている程度や、会社に及ぼす経済的負担の程度等を考慮して、規則違反のレベルに応じた処分の選択が必要になります。電子メールの私的利用や出会い系サイトへの投稿などを理由に、企業が従業員を解雇処分したケースでは、懲戒権は認めつつも、規則違反の程度は軽いとして、解雇処分を無効としています」

私用のスマートフォンなどを会社の業務で使っている場合はどうなるだろう。

「最近では、BYOD(個人所有デバイス活用)で労働者の個人所有の端末の業務利用を認めることが増えていますね。この場合には会社施設の利用とはいえないため、その個人所有の端末の利用に関する規程の整備がより重要になります」


福本弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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