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「ミスのペナルティだ」部下に“虫入り鍋”食べさせた疑いで役員逮捕、職場でこんな要求されたらどうする?
写真はイメージ(surachetsh / PIXTA)

「ミスのペナルティだ」部下に“虫入り鍋”食べさせた疑いで役員逮捕、職場でこんな要求されたらどうする?

部下の女性に昆虫入りの鍋を無理やり食べさせたとして、札幌市在住の会社役員の男性が3月上旬、強要の疑いで北海道警に逮捕された。

毎日新聞によると、男性は2023年5月中旬ごろ、小樽市内の会社で、女性部下に昆虫入りの鍋を食べるよう強要した疑いがあるという。

男性は、女性が仕事上のミスをしたことを理由に「ペナルティ」と称して現金などを要求。さらに「債務を相殺するゲーム」として昆虫入りの鍋を食べさせたとされる。

男性は「虫を食べさせたのは間違いないが、強要はしていない」と容疑を一部否認しているという。

こうした行為は、指導の範囲を明らかに逸脱しているとみられる。もし職場で理不尽な要求を受けた場合、被害者はどう対処すべきなのか。金井英人弁護士に聞いた。

●「ペナルティ」で意に反する行為を要求→刑事罰や賠償の可能性も

──職場でペナルティとして、昆虫入りの鍋を食べる行為を強要された場合、被害者はどう対応すべきでしょうか。

この事件では、会社役員が従業員の仕事のミスを理由に金銭の支払いを求め、その代わりとして昆虫入りの鍋を食べさせたとされています。問題となるのは、次の2点です。

(1)仕事上のミスを理由に、会社役員(使用者)が従業員へ金銭を要求すること
(2)その支払いを免れる条件として昆虫入りの鍋を食べるよう求めること(無理な要求をすること)

まず、(1)について、業務上のミスは会社の指揮命令のもとで生じるものです。会社がペナルティを課すには、就業規則上の「懲戒事由」に該当しなければなりません。

さらに、懲戒として罰金を科すことは原則として法律で禁止されています(労働基準法16条など)。そのため、このような金銭要求自体が法律上問題があるといえます。

そのうえで、(2)について、会社役員という優越的な立場から、金銭の支払いを免れる条件として労働者の意に反する行為を求めることは、不法行為として損害賠償の対象となったり、刑事責任が問われたりする可能性があります。

そもそも、金銭の要求の有無にかかわらず、役員や上司が部下に対して業務と無関係な行為を強いることは、指導の範囲を逸脱した嫌がらせであり、パワーハラスメントに該当する可能性が高いでしょう。

●問題のある上司には「無理に従わず相談を」

──こうした行為を求める上司が職場にいる場合、どうすればよいでしょうか。

まず、ペナルティとして金銭を要求すること自体に問題があり、さらに業務と無関係な理不尽な行為を求めることにも問題があります。

そのため、このような要求を受けた場合は、無理に応じる必要はありません。はっきりと拒否したうえで、早めに専門家に相談することをおすすめします。

また、程度にかかわらず、理不尽な要求が日常的におこなわれている職場環境であれば、会社が負うべき雇用契約上の職場環境配慮義務に違反する可能性もあります。

別の上司や人事部に相談するほか、やはり弁護士など専門家に相談することを検討するとよいでしょう。

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

金井 英人
金井 英人(かない ひでひと)弁護士 弁護士法人名古屋法律事務所 みどり事務所
愛知県弁護士会所属。労働事件、家事事件、刑事事件など幅広く事件を扱う。現在はブラックバイト対策弁護団あいちに所属し、ワークルール教育や若者を中心とした労働・貧困問題に取り組んでいる。

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