2月5日から翌6日にかけて、関東地方では南岸低気圧の影響で雪の予報が出ています。東京23区などの平地でも積雪になる可能性があり、交通機関への影響もありうる状況です。
もっとも、5日朝の時点では降雪もなく、多くの社会人がいつもどおり出勤したとみられます。都内のIT企業に勤めるAさん(40代)もその一人ですが、昼過ぎからの降雪予報を前に、帰り道を心配しています。
「可能なら早めに仕事を切り上げて、電車が動いているうちに帰宅したいです。今のところ会社から何のアナウンスもないので、少なくとも定時まで仕事をしないとダメそうですが…」(Aさん)
諦め顔のAさんですが、夜まで仕事をしているうちに交通機関が麻痺し、帰宅時間が大幅に遅れるのは誰だって避けたいでしょう。積雪で勤務中や帰宅時にけがをする可能性も高まります。会社が従業員の安全に配慮し、「午後の休業」や「早期帰宅」などを命じる義務はないのでしょうか。
●積雪の予想段階では「休業命令」などの義務なし
天変地異など人では対処しようがない事情・事態を「不可抗力」といい、これに当てはまる場合は、会社も従業員も多くの法的義務などが免除されます。ただ、すでに出勤していてこの後の積雪が予想されるという状況では不可抗力に当てはまりません。
また、問題なく出勤できていて、会社や従業員に何ら被害がない段階では、原則として会社側に休業命令などを出す義務もありません。
会社は従業員の安全に配慮しなければならないという「安全配慮義務」を負っています。仮に従業員が帰宅困難で会社に宿泊することになった際に健康を害した場合などは、安全配慮義務違反を問われる可能性もあります。
もっとも、天候は時々刻々と変化しますし、交通機関がストップする可能性が高いとみれば、従業員を早期帰宅させるなどの措置をとる会社も少なくないでしょう。Aさんの場合も、このあと会社から帰宅指示などのアナウンス等が出されることもありえそうです。
通勤に要する時間や家庭の事情など、会社側があらかじめ画一的に判断できない要素もあります。気象情報を十分に把握した上で、帰宅したい事情があれば、まずは会社側に一度相談してみるのが良さそうです。