連合の芳野友子会長は1月5日に都内のホテルで開かれた新年会のあいさつで、春闘に向けて「中小企業の賃上げを実現しなくてはならない」と強調。原資確保のため、適正な価格転嫁や価格交渉ができる環境整備が必要だと語った。
昨年2023年春闘での賃上げ率は30年ぶりの高水準となったが、物価高騰により実質賃金はマイナスとなり、生活への不安が高まっている。
芳野会長は「昨年は『賃金は上げられる』と示すことができた。次は『賃金は上がり続ける』ということを根付かせるための正念場になる」とし、特に雇用の7割を占める中小企業が賃上げ分などを適正に価格転嫁できることが重要だと指摘した。
この点をめぐっては、2023年11月に公正取引委員会などによるガイドライン(労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針)が示されている。芳野会長は企業、政府に向けて、この指針が適切に機能するよう協力を呼び掛けた。
●岸田首相「物価上昇を上回る賃上げを」
連合の新年会には岸田文雄首相も防災服姿で出席。日本経済の成長のためには「物価上昇を上回る賃上げの実現が必要」とし、「政策を総動員する」と語った。
新年会には立憲民主党の泉健太代表や国民民主党の玉木雄一郎代表をはじめ、各党の幹部や大臣が出席した。
例年、連合の新年会は「交歓会」の名で開催されているが、今年は能登半島地震を踏まえ、時間を短縮し、スピーチのみの「互礼会」との位置づけで実施。芳野会長を含め、登壇者からは地震や羽田空港の航空機衝突事故について、見舞いや関係者への敬意の言葉も語られた。