栃木県の真岡消防署が7月におこなった宴会で、全裸に近い状態の男性署員3人が女性署員から酒を受け取って一気飲みする余興がおこなわれていたことを読売新聞が報じた。報道によると、署長などの幹部を含めて署員の約半数が出席したという。
このような行為はセクハラに当たらないのだろうか。波多野進弁護士に聞いた。
●半数以上が参加した宴会は公的なもの
―このような余興はセクハラにあたりうるのでしょうか。
二つの観点からセクシャルハラスメントにあたると考えられます。
まず記事によると、「20歳代の男性署員3人が、トイレットペーパーとラップフィルムなどで陰部のみを隠した状態で登場」ということです。この3人が、自身の意に反して行わされた、行わざるを得なかったということになれば、彼らもセクハラの被害者といえると思います。
また、彼らの姿は裸同然と言えます。宴会は職員の半数が参加し、署長などの幹部職員も出席しており、公的な会に近いものです。この宴会に参加している以上は、余興を避けがたく、しきり役の女性署員や、この場にいた誰もがセクハラの被害者となり得ると思います。
―上司(監督者)の立場にある署長は余興を止めなかったと報じられています。監督責任などの観点から、どのような法的問題があるのでしょうか。
職員の半数が参加し、署長などの幹部職員も出席している宴会のため、純粋な私的行為とは言えず、公務の延長線上で起きたといえるセクハラです。
かつ、署長自身が宴会に参加し、問題のある宴会芸を止めうる立場にあったのみならず、「小林署長は立ち上がって女性署員に敬礼」までしています。止めるどころか、積極的に助長していたと言える行動をとっていたことからすると、被害者らがセクハラとして損害賠償請求を行う場合、署長は監督責任を問われる可能性があると考えます。