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2020年12月29日 09時58分

「消耗品」のフリーアナ、テレビ局に宣戦布告「次は私たちがテレビを消費する番です」

「消耗品」のフリーアナ、テレビ局に宣戦布告「次は私たちがテレビを消費する番です」
対談取材の様子(編集部撮影)

弁護士ドットコムニュースによる、非正社員として地方テレビ局を渡り歩いてきたフリーアナ対談企画。ここまで、4回シリーズで不遇をかこつフリーアナウンサーの実態を話してもらった。最終回は、意外にも、非正規アナによるテレビ局への逆襲。

「使い捨ての存在」としてテレビ局から搾取されてきたフリーアナだが、これから踏み台にされるのはテレビ局のほう。そうなる前に、アナウンサーを大切にするべきと語る。(取材は12月上旬に実施)。

●参加者のプロフィール

ミホさん(仮名・30代):複数のローカル局の契約アナウンサー(契約社員)をへて、現在は首都圏でフリー。独身。

エリコさん(仮名・30代):NHKの契約キャスター(業務委託)出身。その後、複数のローカル局の契約アナウンサー(契約社員)をへて、現在は首都圏でフリー。会社員の夫がいる。

●「局の顔」の存在の軽さ

ーー非正規のアナウンサーの働き方に問題意識を持っていたお二人だからこそ、対談企画を持ちかけたとき、積極的に手をあげていただきましたね

ミホ:私たちは一度も正社員のアナになったことがありません。かつて、正社員採用された女性アナのなかには、結婚で2〜3年で退社したり、地方になじめず東京に戻ったりする人もいました。だから、アナは契約で採ろうという考えになる。アナ側の問題もあるといえばあるのかもしれませんが、本当に長く働きたい人たちにとって、現状はすごいつらいです。

「局の顔」と言うべきアナウンサーだからこそ大切にしてほしいんですが、それなのに非正規雇用で、会社の体力が減ったり、人が多くなったりすれば、上層部や制作の好き嫌いで、簡単に切られてしまう。

エリコ:私は働いてきた各局を去らざるをえませんでしたが、どこも長く勤めたかったところばかりでした。それが悔しい。

ーーお二人がかつて働いてきた地方局では、テレビ局の数が飽和状態とも言われているようですね

ミホ:田舎でスポンサーが少ないうえに、民放が4局もあるところでは、局は生きていけない。人件費を抑えたり、安い下請けに仕事を発注したり、なにより、1〜2年で辞めるアナウンサーを正社員で雇えない。

ーーそれで、非正規のアナを雇うわけですね

ミホ:地方ローカルから、フリーで東京に行くと「地方を捨てるのか」「踏み台だったのか」という声を聞くんですけど、そうじゃない。局から契約終了と言われて、ずっと泣いていました。正社員で採ってくれたら、ずっとそこに居たいと思っている人はいっぱいいます。

エリコ:一度、疲れてしまって、地元に帰り異業種に転職しました。どれだけ頑張っても、理不尽でよくわからない人事に振り回され、努力は無駄なんだと打ちひしがれて、アナを辞めました。

また別の局を受けて、知らない土地でイチから人付き合いをして、人事でイヤな思いをしながら2〜3年で契約が終わって、また次の局…。局にいる限り、同じ思いを繰り返すことになる。結局、新卒で望んでいた「アナとして地元で働く」ことは叶いませんでした。

●技術・実績に敬意を持ってほしい

ミホ:採用でも、人事でも、私たちは、顔とか趣味とか、ハッキリしない評価基準に右往左往させられ続ける。そういう職業だと言われてしまえばそうですが、受け入れがたい。

技術が軽視されている。やればやるほど積み上がる技術と実績への評価が低い。

エリコ:新しいニュースキャスターが必要だということになって。局には自分の他にも正社員のアナウンサーもいたんですが、タレントが起用されることになりました。自分たちが取材して書いた原稿が、訓練も受けていない人に読まれるのはつらかったです。上手な人ならまだ納得できたかもしれませんが。

ーーアナウンサーはどうしたら幸せに働けるのでしょう

ミホ:長く居続けられる環境が欲しいです。どうしたら実現するんだろう。全員が正社員になればそうなるとも思えない。消費される環境が変わらないと。難しいですね。

エリコ:テレビ業界はどんどん厳しくなって、局が生き残りをかける未来しかないと思う。残念ながら、アナウンサーのポジションだけ改善することにはならないと思う。

●アナウンサー席にAIが座る未来がもう来ている

ミホ:それなのに、アナとしての番組のギャラは、BS・CS・YouTubeのほうが高く、地上波が一番安い。それでも、地上波で使ってやっているんだという意識があって、私たちへの仕事に対する値付けがめちゃくちゃです。

私が担当しているスポーツの仕事って、すでにAIが喋っているんです。この先、アナの需要が減れば、志望する人も減るかもしれませんね。

エリコ:だけど、動画や他のメディアが伸びていけば…

ミホ:喋るひとはもっと必要になるかもね

エリコ:今までは、アナウンサーってテレビ局から消費される立場だったじゃないですか。他のメディアが伸びていけば、考え方が変わるかもしれない。

テレビ局で2〜3年働いて、肩書きとかノウハウだけもらって辞めて、別のメディアへ。そんな考え方のアナウンサーが増えるかも。それを見抜けなければ、今度はテレビ局が消費される側になっていくだろうなと思いました。

だからこそ、その会社や、地域のために働きたいという人を、正社員で採用して、大事にしたほうがいい。

ミホ:地方局の地元出身者の優遇や、地元各局のアナのトレード・レンタル移籍があればいいと思います。

エリコ:たしかにトレード制度良いですね。

ーー建設的な意見も出たところで、過去の自分にアドバイスするとすれば、正社員になっておけということでしょうか

ミホ:そうですね。はい。即断です。

●連載の終わりに

憧れを持って、なんとかアナウンサーになった先にあるのは、不安定な非正規の身分だった。

同じ場所で長く働けず、それでもアナを続けるためには、疲弊しながら各地を1年〜数年で転々するしかない。もしくは、配偶者を見つけて、アナを「続けさせてもらう」のだ。

30代を過ぎ、ふと「正社員になりたい」とアナを辞めても、自分の汎用性のなさに気づかされる。

彼女たちの同僚のほとんどが、早々と見切りをつけて、アナを辞める選択をした。

しかし、それでも、この仕事を続けたいと思わせる魅力があることもまた事実。その「魅力」のために、テレビ局側の都合で消耗させられる。まさにやりがい搾取の構造に、フリーアナはいる。

●連載一覧

【対談1/4】非正規格差の象徴「女性アナ」が赤裸々に語りあう「キラキラ貧困」の実態 「飲み会で頭が沸騰しました」

【対談2/4】30代女性アナ「おばさんは間引かれる」 変わらぬ「若さ信仰」、技術軽視にモヤモヤ

【対談3/4】地方アナ「フジテレビ、うらやましくないです」見下してくるキー局に反発「負け惜しみじゃないです」

【対談4/4】「消耗品」のフリーアナ、テレビ局に宣戦布告「次は私たちがテレビを消費する番です」←今ココ

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