ブラック企業問題に取り組む弁護士や研究者らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は8月30日、私立学校教員の部活動などの業務について、厚生労働省側から「業務に付随するもので必要不可欠であれば、黙示に明示していると判断できる」などと回答されたことなどを報告した。
回答は、同プロジェクトが8月13日に行った質問に対するもの。学校法人関西大学(大阪府吹田市)が設置した小中高校が、労基署から労基法違反で3度の是正勧告を受けたことに関連し、関大付属の教員が時間外労働として行っていた9つの業務について、労働時間として認められるかどうかなどを尋ねた。
厚労省労働基準監督課の担当者は、(1)授業準備、(2)生徒への補習、(3)保護者対応、(4)生徒対応、(5)業務に関わる会議・打ち合わせ、(6)登校指導、(7)入試事務、(8)部活動指導、(9)給食指導の9業務いずれも、学校側による明確な指示があった場合はもちろん、「黙示の指示があった場合」についても「重要な判断ポイントとして労働時間として判断できる可能性が高い」と回答。
学校側が「教員の自主的な活動である」と発言していたとしても、黙示の指示があれば、労働時間として判断できるとした。
●「大きな前進」と評価
厚労記者クラブで会見した「私学教員ユニオン」の佐藤学さんは「9つの業務は、やらなければ学校が回らないという必要不可欠なもの。これらを『労働時間として判断できる可能性が高い』と踏み込んだ判断をしたのは、今後の教員の働き方改革や労働時間の問題を考える上で大きな前進だ」と評価した。
また、会見に同席した関大付属校の教諭は「部活動は自主的な活動だから除外するといったものではなく、実態労働に基づいて判断できるということだった。適正な労働時間の把握と、長時間労働を削減していく方向の判断だと受け止めている」と話した。
同プロジェクトは8月31日(金)と9月2日(日)の2日間、私学教員を対象に、無料労働相談ホットラインを行う。日時は31日が17時〜21時、9月2日が15〜18時。電話番号は(0120-333-774)。