「酷暑日の出勤は危険手当出して欲しい」 「酷暑日は出勤しちゃいけないって法律になりませんか?」
今年から、最高気温40℃以上の日を表す新たな用語として「酷暑日」が設けられ、これまで以上に熱中症への警戒が求められています。
こうした中、厚生労働省は昨年の法改正により、一定の条件下での作業について、事業者に熱中症対策を義務づけました。
猛暑日(最高気温35℃以上の日)や酷暑日であっても、通常どおり出勤や屋外作業を命じることは法的に問題ないのでしょうか。仕事の問題にくわしい正込健一朗弁護士に聞きました。
●企業に求められる安全配慮義務とは
──企業が猛暑日や酷暑日に通常どおり出勤や屋外作業を命じることは、問題ないのでしょうか。
連日の猛暑日や、気象庁が最高気温40度以上の日として新設した「酷暑日」における労働環境の整備は、企業の労務管理上、極めて重要な経営課題となっています。
酷暑日だからといって、直ちに通常出勤や屋外作業が法律上禁止されるわけではありません。しかし、事業者は労働契約法5条に基づき、労働者が安全に働けるよう配慮すべき安全配慮義務を負っています。
酷暑下における熱中症のリスクを予見しながら十分な安全対策を講じずに就労させ、事故を生じさせた場合、企業は安全配慮義務違反として、ときとして多大な損害賠償責任等を問われることになります。
さらに、2025年6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、気温のみならず湿度や輻射等を総合評価する指標のWBGT(暑さ指数)が28度以上または気温31度以上のもとで、連続1時間以上または1日合計4時間超の作業が見込まれる場合、事業者には熱中症対策が法的義務として課されました。
事業者は異変時の報告体制や作業離脱・身体冷却の手順、緊急時の救急搬送体制および連絡網を速やかに整備し、現場へ周知徹底しなければなりません。
●酷暑日には屋外作業の延期や時差出勤も検討を
──企業にはどのような熱中症対策が求められているのでしょうか。
法的リスクや労災事故を回避するには、熱中症対策を就業規則や安全衛生規程にハッキリと落とし込むことが不可欠です。
作業中止や短縮の判断権限者を明確化し、休憩や給水、冷房設備の確保、緊急離脱手順を規定するとともに、朝礼等での体調確認とその実施記録の保存(履行証明のエビデンス確保)を徹底すべきです。酷暑日には屋外作業の屋内化や延期、時差出勤などを優先的に検討することが求められます。
なお、対策設備の導入にあたっては、高齢者の雇用状況や賃上げ計画に応じ、エイジフレンドリー補助金や業務改善助成金、働き方改革推進支援助成金などの公的支援策を適切に活用することで、環境整備コストを効果的に圧縮できる可能性があります。
今年もまだ暑い日が予想され、熱中症の危険が指摘されています。企業には法的リスクを正しく認識し、制度と実務の両面から万全の予防体制を構築することが強く求められます。