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男性の新入社員に「カワイイ」と連呼する女性社員たち・・・これって「セクハラ」?
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男性の新入社員に「カワイイ」と連呼する女性社員たち・・・これって「セクハラ」?

職場の男性にカワイイと言うのはセクハラにならないのか――。はてな匿名ダイアリーに投稿されたこのような文章が、ネットで話題になった。

投稿者によると、職場の女性社員たちが、新入社員の男性の一挙手一投足に反応して、「カワイイ」と連呼しているのだという。女性社員たちは褒めているつもりのようだが、褒められている当の男性社員は嫌がっているそうだ。

このように女性社員が男性社員に対して「カワイイ」と言うのは、「セクハラ」にあたらないのだろうか。南川麻由子弁護士に聞いた。

●男性への性的な言動も「セクハラ」になりうる

「女性が男性に『カワイイ』と言っても、セクハラとなる場合はあります。男性への性的な言動もセクハラになりうるので、『相手が男性だから大丈夫』と安易に考えてはいけません」

南川弁護士はこのように指摘する。どういう理由があるのだろうか。

「基本的に、セクハラかどうかは『その性的言動を受ける側(被害者側)にとって、その言動が不快なものかどうか』で判断されるのが原則だからです。

相手が不快に思えば、セクハラになる可能性があると考えておくべきでしょう」

相手がどのように受け取るかによっても変わってくるということか。

「性的言動に対する価値観や受け止め方には個人差があります。

比較的大らかで気にしない人もいれば、激しい嫌悪感を抱く人もいますので、受け手によって不快に思うケースと思わないケースがあるでしょう」

●「言葉のセクハラを軽く考えるのは危険」

発言する人と受け手がどんな関係なのかも関わってきそうだが、その点はどうだろうか。

「もちろん関わってきます。極端な例ですが、たとえば大好きな恋人に『ずっと側にいたい』と言われればうれしいけれど、特に親しくもない上司に『ずっと側にいたい』と言われたら気持ち悪いと感じるわけです」

このように述べたうえで、南川弁護士は次のように警鐘を鳴らしていた。

「言葉のセクハラについては、特に発言する側が軽く考えがちです。

しかし、相手が嫌がっているのにセクハラ的な発言を繰り返していると、会社から懲戒処分を受けたり、相手から損害賠償請求を受けたりすることにもなりかねません。

今年2月にも、女性社員に言葉のセクハラ行為を繰り返した管理職の男性について、会社が懲戒などの処分にしたことについて、最高裁が『会社の処分は適法である』と判断したことがニュースになりました。

安易に『これくらい平気だろう』と思わず、相手が嫌がるような言動は慎んだほうがよいでしょう」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

南川 麻由子
南川 麻由子(なんかわ まゆこ)弁護士 あおぞらの虹法律事務所
インターネット・SNS関連や、離婚、相続、遺言、成年後見等を得意分野とし、民事・家事・刑事等幅広い分野に対応。ハラスメント等の研修、子どもや市民向け法律講座やLGBT支援などにも取り組む。Twitterアカウントは@lawyerMAYUZO。

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