弁護士ドットコム ニュース
  1. 弁護士ドットコム
  2. 離婚・男女問題
  3. バレンタインの「3倍返し」 男性が断ったら違法なのか?
バレンタインの「3倍返し」 男性が断ったら違法なのか?

バレンタインの「3倍返し」 男性が断ったら違法なのか?

2月14日はバレンタイン・デー。日本では、女性が男性にチョコレートなどのプレゼントを受け渡す習慣がある。また、この日にプレゼントをもらった人は、1カ月後のホワイト・デーに「お返し」をするものだと期待されている。

バレンタインの「お返し」について、カタログ通販のニッセンが30代・40代の女性を対象に調べたところ、「お返しはいらない」という回答が37.7%で最も多かったものの、一方で、贈ったものと「同じ額」を期待するという回答が34.1%、「2倍くらい」を期待する回答が21.1%、「3倍くらい」が5.2%あったという。

このような女性側の意識からすると、「お返しは礼儀」と言えるのかもしれない。しかし、本命でもない「義理チョコ」にまで、「2倍返し」や「3倍返し」をしていては、もらった側はコストに見合わないだろう。では、もしも女性から「3倍返し」を求められたときに、男性が断ったらとしたら、「違法」になるのだろうか。中村憲昭弁護士に聞いた。

●「愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではない」

「仮に『3倍返し』を求められて、それを断ったとしても、違法ではありません。そもそも世の中には、法律で規定すべき事柄と、そうでない事柄があります。バレンタイン・デーの『3倍返し』は後者であって、法的な拘束力までは認められないでしょう。

そもそも、愛は無償で与えるものであり、見返りを求めるものではありません。ですから、贈った側が3倍返しを期待したとしても、それを相手に求めるのは無粋というものです。まあ、逆に3倍返しを求められた際に断るのも無粋かもしれませんが(笑)」

つまり、女性から「3倍返し」を求められたとしても、契約で縛られるわけではなく、男性は断っても「法的には」問題がないということだ。

●「バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略にすぎない」

一方、見返りを期待してチョコレートなどを贈った女性からすれば、お返しがないというのは残念な結果だろう。そのような場合、贈った物を「返還」してほしいと、男性に要求できるのだろうか。

「できません。法的には贈与契約ですから、一旦相手に交付した場合は、履行が終了したことになり、プレゼントの返還を求めることはできなくなります。そもそも、バレンタイン・デーは菓子メーカーの戦略と言われるイベントですし、私たちは割り切って楽しめばいいのです。法的な権利義務を持ち込む必要はありません」

中村弁護士の言うように、楽しいはずのバレンタイン・デーとホワイト・デーのプレゼント交換に、法律を持ち込むこと自体、野暮なことなのかもしれない。なお、中村弁護士は以下のようにも付け加えた。

「ただし、夫婦間においては、『3倍返し』は法律を超越した義務です。消滅時効もありません。お返しを忘れたら一生責められるので、要注意です(笑)」 

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

中村 憲昭
中村 憲昭(なかむら のりあき)弁護士 中村憲昭法律事務所
離婚・相続、交通事故など個人事件と、組織が万全でない中小企業を対象に活動する弁護士。裁判員裁判をはじめ刑事事件も多数。その他医療訴訟や建築紛争など専門的知識を要する分野も積極的に扱う。

オススメ記事

編集部からのお知らせ

現在、編集部では正社員スタッフ・協力ライター・動画編集スタッフと情報提供を募集しています。詳しくは下記リンクをご確認ください。

正社員スタッフ・協力ライター募集詳細 情報提供はこちら

この記事をシェアする