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19歳女性との不倫を見逃した妻、3年後「やっぱり慰謝料が欲しい」…後から請求できる?
当時は見逃したけどやっぱり…(Fast&Slow / PIXTA)

19歳女性との不倫を見逃した妻、3年後「やっぱり慰謝料が欲しい」…後から請求できる?

パートナーが不倫したとき、様々な事情から何もアクションを起こさない人もいるでしょう。ただ、月日が経てば気持ちは変わるもの。「あの時慰謝料請求でもしておけば…」と当時の自分の決断を後悔する人もいるようです。

といっても、いつまでも慰謝料を請求できるわけではありません。子育て情報サイト「ママスタ」の掲示板では、3年前に夫が不倫したという女性が「慰謝料とれるかな?」(http://mamastar.jp/bbs/comment.do?topicId=3727104)と質問しています。

●「すべてが色をなくしたような世界」に

夫の不倫相手は、当時19歳の学生でした。お金も期待できないため、女性は「もう縁を切りたいので慰謝料はいい」と口約束を交わし、不倫相手との縁を切りました。

しかし、当時から心はモヤモヤしたまま。「すべてが色をなくしたような世界」になり、夫とは喧嘩が増えて離婚話も出るようになりました。

慰謝料が取れるなら、払ってもらいたい——。女性はそう思うようになりましたが、あと2カ月で不倫を知ってから3年が経ちます。不倫の相手が判明している場合、3年が経過すると時効により慰謝料を請求する権利がなくなってしまいます。

果たして、今から請求することは無理なのでしょうか。後藤貞和弁護士に聞きました。

●アクションを起こせば、時効の猶予ができる

——時効が迫る中、女性ができることはありますか

3年の時効期間が経過する前に、訴訟提起や調停の申立を行うことで、時効の完成を阻止することができます。

それも間に合いそうにない場合には、時効の完成を猶予させる方法もあります。典型例は「催告」で、不倫相手に慰謝料を支払うよう請求しておくことです。

催告しておけば、そこから6カ月間は時効の完成が猶予されます。注意すべきは、あくまで完成の猶予なので、催告してから6カ月以内に訴訟を起こしたり調停を申し立てたりしないと、時効が完成してしまいます。

——催告はどのような方法でおこなうのですか

催告の方法は特に法令によって定められていませんが、配達証明付きの内容証明郵便で行うのが一般的です。催告があったこと自体を不倫相手が争ってくる可能性があるので、催告が不倫相手に到達したことを後日証明できるようにしておくためです。

しかし、現在の不倫相手の住所が以前と同じかは分かりませんし、万一催告の書面が届かなかった場合にどうなるかという問題もあります(郵便受けに届いてさえいれば、到達したとして扱われることもあります)。

不倫相手の住所がわからなくても、弁護士に慰謝料請求を依頼した場合には、不倫相手の電話番号などから弁護士会照会といった手続で相手の住所を調べられることがあります。

消滅時効の起算点については、詳細な事情に基づく分析が必要ですので、なるべく早めに弁護士に相談し、具体的なアドバイスを受けられることをおすすめします。

なお、配偶者に対する慰謝料請求については婚姻解消時から6カ月が経過するまで時効は完成しません(民法159条)。

そのため、仮に不貞相手に対する請求権が時効の完成により消滅したとしても、婚姻中の配偶者に対しては時効完成により請求できなくなることはありません。離婚が成立した後は、通常と同じように時効の問題が生じます。

プロフィール

後藤 貞和
後藤 貞和(ごとう さだかず)弁護士 弁護士法人後藤東京多摩法律事務所
2014年弁護士登録、仙台弁護士会所属。当事者の納得いく解決を目指した親切・丁寧な対応をモットーとしています。Chatwork等のビジネスチャット、ビデオ通話による相談にも対応しています。お気軽にご相談ください。

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