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離婚後の「養育費」増えるケースも 算定表の見直しは「子どもが希望を持てる内容だ」
画像はイメージです(Taka / PIXTA)

離婚後の「養育費」増えるケースも 算定表の見直しは「子どもが希望を持てる内容だ」

子どものいる夫婦が離婚する際には、養育費や面会交流のルールを決めることが大切なミッションとなる。最高裁の司法研修所は12月23日に、養育の「算定表」の見直しをする研究報告を公表すると報じられた。条件によっては、金額が増えるケースも想定されている。

養育費の額については「算定表」を参照することが多い。現在用いられているのは2003年に作られたもので、社会情勢の変化に応じた内容にする必要性が指摘されてきた。

この発表を弁護士はどうみるのだろうか。現在、養育費をめぐっては「金額が低すぎる」などの批判もある一方で、そもそも「支払われない」問題もある。養育費問題に取り組んでいる木下貴子弁護士に聞いた。

●「希望の持てる内容」の一方で、「支払えない・支払わない」問題も

今回の見直しについて、養育費をもらう側にとっては希望の持てる内容だと考えています。

これまでも養育費を支払う側からは『金額が高い』との声が多くありました。現在の算定表よりも増えたら、支払え(わ)ない事例が増えることは懸念されるところです。

しかし、民事執行法が改正されることで、養育費未払いが減ることが期待されています。改正法によって、財産開示の拒否や虚偽の告知に刑罰が科されたり、回収する際にとても重要な情報となる勤務先情報を取得しやすくなったりすることで、支払いを確保する手段が補強されるからです。

養育費は、子どもの健やかな成長を経済面で支える重要なものですから、この改正とあわせて考えると、今回の見直しはお子さんにとって、また養育費をもらう側にとっては希望の持てる見直しだと思います。

もっとも、子どもの健やかな成長のためには、養育費とともに子どもの精神面を支える面会交流も大切です。

子どもにとって意義のある面会交流であっても、不当に拒否された場合の強制手段の実効性が乏しく、養育費と比較して不公平と言われることもあります。養育費を自発的に支払ってもらうためにも、面会交流の実施確保について法的な支援が今後望まれるところだと思います。

プロフィール

木下 貴子
木下 貴子(きのした たかこ)弁護士 多治見ききょう法律事務所
離婚・親権・養育費の分野で1000件以上の案件を扱う。「離婚後の親子関係の援助について」「養育費」をテーマに講演。離婚調停での「話し方」アドバイスブックはこれまでに2万人以上が利用している。著書「離婚調停は話し方で変わる」「離婚回避・夫婦関係修復につなげる話し方の技術」がAmazon法律部門他ランキング第1位獲得。

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