都内の会社員A美さんは、先日、交差点で信号待ちのため停車中に、角のコンビニから出てきた軽トラックに驚いた。荷台にとても可愛い柴犬がのっていたのだ。
柴犬はリードに繋がれておらず、荷台の上をうろうろ。飛び出してしまわないかとヒヤヒヤして、しばらく目で軽トラを追ってしまったという。
荷台の上に犬をのせたまま運転しても、法的には問題ないのだろうか。細川敦史弁護士に聞きました。
●「うちの犬は荷台に慣れている」は身勝手な言い分
ーー犬を荷台の上にのせても、法的に問題ないのでしょうか。
犬は「積載物」に含まれるので、荷台に乗せても原則として道路交通法上の問題はないと考えられます。
ただ、犬の大きさや重さによっては、運転者の後方の視野を妨げる可能性や、運転車両の安定を害する可能性があり、運転者の安全運転義務(道交法55条2項)に違反する場合がありえます。
ーーA美さんは犬が動き回っていたので、飛び出さないか少し不安になったそうですが…
道交法上違法とまではいえないとしても、犬などの動物は、無機物と違って自らの意思で動くので、ケージに入れたうえで荷台にしっかりと固定するか、ケージはできる限り車内に入れた方が望ましいでしょう。
犬の安全を守るために、また、他の車両に迷惑をかけないために、ノーリードの犬をそのまま荷台に乗せることは、少なくとも人や交通量の多い都内においては不適切と考えます。「うちの犬は荷台に慣れているし、荷台に乗るのが好きだから」という飼い主がいるとしたら、それは身勝手な言い分です。
飼い主が予想しない動きなどによって犬が道路上に落下し、そのことが原因で後続車両等を巻き込んだ交通事故が発生したときは、運転者である飼い主が損害賠償責任を負います。
●人は原則ダメ
ーーちなみに、荷台の上に人が乗るのは法的に問題ないのでしょうか。
原則として、座席以外に人を乗車させることはできません。例外的に、貨物自動車が貨物を積載している場合、その貨物を看守するため必要最小限の人を荷台に乗車させることができる、とされています(道交法55条1項)。
ただ、荷台に乗れるのはあくまでも例外的な場面であり、荷物を監視するという名目で、いたずらに荷台に乗るものではありません。