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連れ子の実父は「有力企業の社長」、新パパ「子どもと親子関係を結ぶべきか悩みます」
画像はイメージです(背景=吉野秀宏 / PIXTA、人物=polkadot / PIXTA)

連れ子の実父は「有力企業の社長」、新パパ「子どもと親子関係を結ぶべきか悩みます」

西日本で働くコウイチさん(仮名・30代)は最近、結婚したばかり。自身は初婚ですが、お相手はバツイチ。いきなり、中学生の息子ができたといいます。

「思春期の男の子ということもあって、なかなか『お父さん』とは呼んでもらえなくて。こればっかりは時間が解決してくれると考えたいです」(コウイチさん)

もっと頭を悩ませているのが、息子と養子縁組をするかどうかです。コウイチさんも年収1000万円以上を稼ぐ高所得者ですが、息子の実父は地元では名の知れた企業の社長なのだそうです。

「ほかに子どもはいないそうです。ゆくゆくは後を継がせたいという話が出てくるかもしれません。それだけに養子縁組が彼のためになるのかどうか、きちんと考えたいんです」

再婚したからといって、相手の子どもと自動的に法律上の親子になるわけではありません。コウイチさんの場合、養子縁組をした方が良いのでしょうか。橘里香弁護士 に聞きました。

●15歳以上なら子どもの署名も

ーー養子縁組をすることにどんなメリットがありますか?

「法律上のメリットは法的に相続人として扱われることですが、それ以外にも、法律上も親子関係を結ぶことで、子どもに対して、親子としてやっていく強い気持ちがあることを示し、心理的な距離を近くし絆を深める効果があるでしょう。

特に連れ子さんが15歳以上の場合には、子ども本人に養子縁組届に署名押印してもらう必要があることから、手続きを通じて親子になりたいという気持ちを伝えていく効果が期待できます。

養子縁組自体は、両者が合意すれば、将来離縁によって解消することもできますので、お子さんの気持ちを一番に何が良いかを検討いただければと思います」

●養子縁組をすれば両方の財産をもらえる

ーーコウイチさんの場合、連れ子の父親が会社社長だそうです

「普通養子縁組では、実父との親子関係は消えないことから、実父からの相続も、養親からの相続も両方相続できることになります」

ーー会社を継ぐかもしれないことが気がかりのようです。逆に養子縁組をせずに、コウイチさんの財産を残してあげることはできるのでしょうか?

「遺贈という方法があります。ただし、トラブル防止のためには、きちんとした遺贈の遺言書を作成しておくことが必要です。また、相続税の扱いが相続人の場合と異なりますのでこの点も注意が必要です」

ーー養子縁組をどうするか、どのように判断したら良いのでしょう?

「いずれの方法が良いかは、ケースごとで異なります。重要なのは、お子様の気持ちです。どのような選択をするにせよ、子どものことを大切に思っているという気持ちがきちんと伝えられるよう、想いや認識を共有できるよう意識していただければと思います」

この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。

プロフィール

橘 里香
橘 里香(たちばな りか)弁護士 弁護士法人一新総合法律事務所
沖縄県那覇市出身。1979年生まれ。メンタルケア心理士の資格を持ち、「相談しやすさ」「話しやすさ」に定評がある。離婚事件に注力し、これまで数多くの事件を解決に導いている。

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