2015年06月15日 17時38分

<安保法制>小林節教授「狂った政治は次の選挙で倒すべき」 長谷部教授とともに批判

<安保法制>小林節教授「狂った政治は次の選挙で倒すべき」 長谷部教授とともに批判
小林節・慶大名誉教授(左)と長谷部恭男・早大教授

衆議院の憲法調査会で「集団的自衛権の行使は違憲だ」と発言し、大きな波紋を呼んだ憲法学者の長谷部恭男・早稲田大教授と小林節・慶應大名誉教授が6月15日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見した。2人は政府が国会に提出している安保法制について「撤回すべき」だと声を揃えた。

長谷部教授は、安保法案を撤回すべきだという理由について、「核心的な部分、つまり集団的自衛権を容認している部分が、明らかに憲法違反だからであり、かつ、違憲の『他国軍隊の武力行使と自衛隊の一体化』をもたらす蓋然性も高いからです」と話した。

小林名誉教授は「違憲というのはもちろんですが、憲法違反がまかり通ると、憲法に従って政治を行うというルールがなくなって、北朝鮮みたいな国になってしまいますね。金家と安倍家が一緒になっちゃう。これは絶対に阻止しなきゃならない」と指摘。「安倍さんの言うとおりにしたら、日本の自衛隊はアメリカの軍隊の二軍になっちゃって、日本は傷ついたうえに破産してしまいます。何一ついいことはないですね。撤回すべきで、撤回しないなら選挙で倒すべきだと思います」と語気を強めた。

【動画】小林節・慶大名誉教授と長谷部恭男・早大教授の記者会見の動画はこちらから

https://www.youtube.com/watch?v=1pcUEXsCcSc

●「自民党の政治家には、基本的な知識が欠けている」

長谷部教授は、政府が閣議決定で集団的自衛権の行使を容認したことについて、「集団的自衛権の行使が違憲だという結論は、長年にわたって、複数の政府機関が徹底的で入念な熟議を経て出されたものです。こうした成果が、時の首相の好みで変更できるなら、政治権力を制限するという憲法の役割は消失してしまう。憲法条文のどんな解釈でも可能ということになってしまう」と、危機感を表明した。

また、1959年の砂川事件の最高裁判決が集団的自衛権の根拠になっているという、高村正彦自民党副総裁の主張については「誤った理解です。ほぼ全ての憲法学者が、この点では私を支持してくれると思います。砂川判決の中では、日本の集団的自衛権行使については、全く争点となっていません。判例の重要性は、その裁判所がどんな争点について判断をしたのかを前提に、評価されるべきです。自民党の政治家には、この、法についての基本的な知識が欠けているように思えます」と述べた。

小林名誉教授もこの砂川判決に触れ、「戦争というのは国の存続に関わる大問題ですから、選挙で選ばれていない最高裁判所の15人の裁判官が決めるわけにはいかない。一次的には、選挙で選ばれた国会と内閣が決める。だけど、最終的には主権者国民が決めると(判決は)言っているんですね。だから、ああいう狂ってしまった政治は、次の選挙で倒せばいいんですよ」と主張した。

●日米安保条約の新ガイドラインには「法的拘束力がない」

外国人記者から「集団的自衛権の具体的なシナリオを政府が出さない理由は?」と問われると、長谷部教授は「政府が具体的な例を想定しているかも、私にはわかりません。イランとアメリカとは友好的な関係に向かいつつあり、ホルムズ海峡がブロックされることも具体的にはイメージしにくい。集団的自衛権が行使されること、それ自体が目的なのではないかと考えています」と答えた。

また政府は今年4月、安保法制の国会提出に先だって、日米安保条約の新ガイドラインを制定し、アメリカに対して集団的自衛権の行使を約束している。このことについて、長谷部教授は「ガイドラインで、できるかできないかもわからないことを先に約束するのは、大変リスキーな選択だったと、私は考えております。最近のガイドラインの内容は、元々の日米安保条約の枠組みをはみ出しているはないかという批判もあります。従いまして、安保法制が成立しなければ、日米間の関係が悪化するかもしれませんが、それはもともと無理な約束をした方にその原因があると思います」と指摘した。

もし新ガイドラインを守れなければ、日米関係が悪化するのではないかという質問も出たが、小林名誉教授は「私は日米関係は悪くならないと思います。日米の官僚は大変頭がいいですから、ガイドラインには法的拘束力がないことを知っています。ガイドラインの上に法律があり、その上に憲法がある。このことを知っていますから、やっぱダメだったなで済むんじゃないですか」と回答した。

●安保法制もし成立したら?

自民党の高村副総裁が「憲法の番人は、最高裁であって憲法学者ではない」と述べたことや、これまで最高裁は政治的な事案について憲法判断を避ける傾向にあった点などをふまえて、記者の質問は法律が成立した後の裁判についても及んだ。

小林名誉教授は、法律が成立した場合に備え、すでに訴訟の準備を始めているとして、次のように述べた。

「法律が有効になった瞬間から、いままで日本になかった戦争の危険、海外で戦争する危険が具体化するんですね。平和に生きる権利が憲法前文と9条で保障されているならば、法律ができた瞬間から権利が犯されたという理解をして、国民誰でも政府に対して『違憲行為で平和が傷つけられた』という訴訟を考えています。ただ、かなり技術的には難しい。

その次の段階は、具体的に海外派兵の命令が下ったとき、その部隊の一員がそこから逃げ出して、懲戒処分を受けた場合、それが違憲無効だと訴える。

一番悲劇的なのは実際の海外派兵で死んだ人がいた場合、その遺族が、違憲な戦争で家族が殺されたと訴える。この準備を我々はすでに始めております」

長谷部教授は「最近、最高裁は変化をしつつありますので、今までと違った態度を取る可能性があると思っています。ただ、他方、裁判所に頼りすぎるのも良くない。まず、次の国政選挙で、新しい政府を成立させて、いったん成立させたこれらの法律を撤回させる、元に戻すということを考えるべきだと思います」と話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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