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ホストに500万円つぎ込んで「結婚」約束・・・音信不通になったら「結婚詐欺」?
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ホストに500万円つぎ込んで「結婚」約束・・・音信不通になったら「結婚詐欺」?

「結婚を約束したホストと連絡が取れない」。そんな悩みが、ホストと「交際していた」という女性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに寄せられた。スマートフォンのメッセージアプリ「LINE」で「結婚の約束」をしていたというのだ。

女性は、ホストの男性から「結婚する前に店を辞めたいが、そのためには店でナンバーワンを2回取らないといけない」と言われ、真にうけてしまったようだ。そこで、彼をナンバーワンにするために、4カ月で500万円という大金を店で使い、売り上げに貢献したという。

ところが、そのホストは、店を辞めると「音信不通」になってしまった。電話は着信拒否、LINEもブロックされたのだという。女性は「自業自得といえばそうですが・・・」と自分を責めつつも、「『店を辞めて結婚したい』とだまして、お金を使わせたことは詐欺になりませんか?」と悔しそうだ。

今回のケースは、いわゆる「結婚詐欺」にあたるのだろうか? また、女性は「半分でもいいのでお金を取り返したい」と記しているが、それは可能だろうか? 大山滋郎弁護士に聞いた。

●ホストは、客に「夢」を見させる商売

「結婚するとウソをついていただけでは、結婚詐欺にはなりません。結婚するとだまして『金品等』をとった場合が、結婚詐欺です。

また、最初からだますつもりがなければ、詐欺になりません。たとえば、『当初は本気で結婚するつもりだったが、後から気が変わった』ということなら、詐欺にはならないわけです」

大山弁護士の指摘から考えると、今回のケースでは「金品等」にホストクラブでの「飲食費」も含まれるのか、ホストとの「交際」と「結婚の約束」がどのようなものかが、カギをにぎることになりそうだ。

「本件のような場合、結婚詐欺ということで警察が動いてくれるのは、相当難しいはずです。

ホストは、ある意味、お客に『夢』を見させる商売です。そもそも、LINEのやり取りで『結婚の意思があった』と信じるのが普通のことなのかが、問題となります。また、ホストが後で『当初は結婚してもいいと思っていた』と主張したら、それを反証するのは、簡単ではありません」

●つぎ込んだ500万円は取り返せない?

では、彼のために使った500万円は、もう取り返せないのか。

「今回のケースは、ホストに直接お金を貢がせたのではなく、お店でお金を使わせただけですので、お金を取り返すのは難しいでしょう。

ただ、このホストが他の人に対しても同じようなことを何度もしていて、被害届が多数出ていれば、警察も動くでしょう。また、もともと理論的には『詐欺罪』とすることも可能な案件であることは、間違いありません。

しかし一般論としては、男女間の問題で『結婚詐欺』などの詐欺罪が適用されるハードルは、かなり高いものだと考えたほうが良さそうです」

(弁護士ドットコムニュース)

プロフィール

大山 滋郎
大山 滋郎(おおやま じろう)弁護士 弁護士法人横浜パートナー法律事務所
刑事弁護と企業法務が得意分野。メーカーの法務部門に長く勤め、勤務のかたわらニューヨーク州弁護士資格を取得し、日本の司法試験にも合格した。会社の法律問題を扱う一方、多数の刑事事件を手がける。

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