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「オウムをどれだけ知っているのか」地下鉄サリン被害者が「オウムの映画」を撮る理由
記者会見で映画について話す、さかはらあつしさん

「オウムをどれだけ知っているのか」地下鉄サリン被害者が「オウムの映画」を撮る理由

20年前の1995年3月に起きた地下鉄サリン事件。その「最後の裁判」とされる、元オウム真理教信徒の高橋克也被告人(殺人罪などで起訴)の刑事裁判が1月16日から、東京地裁で始まる。公判前日の15日午後、東京・霞が関の司法記者クラブでは、事件の被害者で映画監督のさかはらあつしさんによる記者会見が開かれた。さかはらさんは、この2月から3月にかけて、オウム真理教の後継団体「アレフ」の幹部である荒木浩氏に密着取材して、その肉声を伝えるドキュメンタリー映画を作ろうとしているのだ。

弁護士ドットコムでは、さかはらさんがアレフの映画を制作しようと考えた経緯や、クラウンドファウンディングという手法で制作費を集めようとしている目的について、くわしく報じた(http://www.bengo4.com/topics/2548/)。今日の会見で、さかはらさんは「なぜドキュメンタリー映画という方法なのか」という点について、目の前の記者たちに向かって、次のように語りかけた。

●「記者のみなさん、被害者に24時間、密着した方はいますか?」

「ここにいらっしゃる記者の方に、被害者として一つ質問したい。被害者の報道をするとき、1カ月間、フルに被害者に密着した経験のある方は、いらっしゃいますか・・・・いませんね。では、1週間、密着された方はいますか・・・いませんね。1日24時間、密着された方はいますか・・・いませんね。

結局、被害者はそういう状況に置かれています。それが報道の現実です。みなさん、情報を要約し、圧縮して発信しているわけです。いったい何人の方が、被害者のことを正面から受け止めてくれているかというと、そういう人はいないんです。

これが、私の、被害者としての立脚点です。そこを考えたとき、アレフ、オウム真理教の人たちのことをどれくらい知って、彼らのことを報道しているんだろうかという問いが出てきました。(アレフの人たちに対する理解は)被害者への理解よりも深いですか? 私は、あまり深いような気がしなかった。だったら、私が私なりにやろうと。

私はみなさんと違って、ジャーナリストではありません。被害者であり、映画監督です。なにが正しいのかとか、なにが悪いのかという話をするつもりはないんです。ただ、『お話をゆっくり聞かせてください。額面どおり一回、受け取りますので、お話をうかがわせください』というスタンスで、映画を作りたいと思いました。

私は、みなさんを批判したいわけではありません。みなさんは職業ジャーナリストですから、いくつもの案件を追いかけていて、1つの案件を1カ月間も追いかけることはできない。そういう事情があり、仕組みがあるわけです。

私が『20年目の問題』についてやろうとしていることは、『オウムの人にも事情があり、仕組みがあるだろう。それを解題したい』ということです。それができたら、私が今まで抱えてきたオウムの問題、地下鉄サリンの後遺症の問題について、私なりに一つの小さな勝利を獲得できるのではないか。そう思って、この企画を立案しました」

さかはらさんの記者会見の動画(ノーカット版)はこちら。

https://www.youtube.com/watch?v=uPc2mu5cDn4

(弁護士ドットコムニュース)

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