神戸市内のコインパーキングで約7年にわたり、料金を支払わずに車を停め続け、管理会社の業務を妨害したとして、運送業の男性がこのほど、威力業務妨害罪の疑いで兵庫県警に逮捕された。
神戸新聞や朝日放送などによると、男性は2019年4月から、神戸市灘区のコインパーキングに車を駐車し続け、管理会社の業務を妨害した疑い。
管理会社から警告を受けたものの車を動かさなかったことから、被害届が提出されたという。滞納された駐車料金は約315万円に上ると報じられている。
同じような駐車場の長期放置に悩まされた場合、オーナー側はどのような対処ができるのだろうか。池田誠弁護士に聞いた。長期放置に至るまえに、早期に解決できる場合もあるという。
●逮捕までされることは極めてまれ
──今回の報道があった事件のように、警察に相談すれば対処してもらえるものでしょうか。
威力業務妨害という犯罪は、普通は作為によって実行される犯罪です。
今回のように、長年車両が放置されたこと(不作為)を理由に警察が逮捕にまで踏み切ることは極めてまれだと思った方が良いと思います。
●レッカー呼んで処分したいけど「自力救済」は原則禁止
──レッカー車などを呼んで、自力で車を処分してしまうことは許されないのでしょうか。
法律には「自力救済の禁止」という大原則があるため、勝手に処分してしまうことは原則としてできません。
一般的には、車両の所有者に対して利用料の支払いと撤去を求める通知をおこない、それでも撤去されない場合は裁判を起こし、判決に基づいて強制執行することになります。
車両の所有者がわからない場合は、まず特定する必要があります。
──車の所有者はどのように割り出しますか。
普通自動車の所有者は、運輸局で車両の登録事項証明書の交付を受けて確認します。
登録事項証明書を取得するためには、ナンバーだけでなく、車台番号に関する情報が必要となります。ただし、私有地に放置されている車両か、裁判手続きに必要な場合には、そのことを疎明してナンバー情報のみで交付を受けることができます。
●見つけた所有者に裁判を起こす
──判明した所有者に対して、どんな裁判を起こすのでしょうか。
通常、未払い利用料の支払いと土地の明渡しを求めて訴訟を起こします。
一定期間を超える駐車は、駐車場の利用約款によって、当然に契約が解除され違法となり、明渡し請求が認められるケースがほとんどです。未払い利用料の発生も明らかですから、通常、勝訴判決を得ることは難しくありません。
判決を得た後、それに基づいて土地明渡しの強制執行を申し立てます。
──この車両はどうなりますか。
明渡しの執行を通じ、車両については、目的外動産として所有者に引き取らせるだけでなく、場合によっては競売にかけることもできます。
また、車両から相応に回収が見込める場合には、未払い利用料の支払い判決に基づき動産執行の申し立てをしておくことで、競落代金から回収できる余地も生じます。
●長期放置に悩む前に
──放置(無断駐車)に悩んだ場合、どこに相談すればよいでしょうか。
車両の放置への対応は、駐車場オーナー自身でもある程度可能ですが、初動段階での警告文の掲示や通知書の送付によって、短期間かつ低コストで解消できる場合もあります。
また、早期に弁護士へ依頼すれば、裁判を見据えた証拠保全が可能となり、思わぬ証拠や権利の喪失を防ぐことにもつながります。
車両の放置があった場合は、現場写真や駐車場の利用約款などをそろえ、速やかに弁護士へ相談するのがよろしいかと思います。