約10歳年下の彼女の親から、年齢差を理由に結婚を猛反対されている36歳男性が、弁護士ドットコムに相談を寄せました。男性は、婚活お見合いパーティーで女性と出会い、意気投合して結婚前提で交際を始めたそうです。
男性によると、交際をスタートさせてから2週間後には女性の親に会い、結婚前提で交際していることを伝えました。しかし、一回り近い歳の差を理由に反対されてしまったのです。仕方なく、女性は親に「もう別れた」と伝え、親に内緒で交際を続けて結婚の約束もしました。
男性は婚約指輪を買いに行ったり、周囲にも婚約を伝えたりしています。
しかし、男性は結婚できるかどうか不安があるようです。もしも過干渉な女性の親の反対が続き、別れを告げられることになったら、女性に慰謝料をいくら請求できるかという疑問を寄せています。
もしも、「歳の差」を理由に女性が別れるといった場合、男性は慰謝料請求することは可能なのでしょうか。山口政貴弁護士に聞きました。
●そもそも婚約は成立している?
──女性の親は2人の交際を認めていません。男性は婚約指輪を買ったり、同僚や友人に2人で婚約の報告をしたりしていますが、この状態は「婚約している」とみなされるのでしょうか
結婚と違い、婚約は「婚約届」のように婚約を証明する明確なものはありませんので、婚約しているかどうかは状況から判断することになります。
具体的には、結納を済ませた、両家の顔合わせを行った、結婚式場の予約をした、婚約指輪を購入した、職場に婚約の報告をした、等の事実があれば婚約が成立していると判断されます。
逆に、長期間交際している、同棲している、将来結婚しようという話をしていた、などの事実のみでは婚約が成立しているとは判断されません。
今回は婚約指輪を購入し、同僚や友人に婚約の報告をしたとありますので、婚約は成立していると考えるのが普通でしょう。
●慰謝料はもらえる?
──女性から「親の反対」や「年齢の差」を理由に婚約破棄することは、正当な理由になりますか、それとも不当な理由にあたるのでしょうか
単なる交際であれば、一方的に別れたとしても法的に問題となることはありません。
しかしながら、婚約が成立すると、法的保護に値するものとなり、正当な理由がなく婚約を破棄することは違法行為となり、慰謝料を支払う義務が生じます。
正当な理由とは、婚約中に不倫をしていた、暴力をふるったなど、離婚事由とほぼ同様です。今回は「親の反対」「年齢の差」ですが、これらは婚約破棄の正当理由とはなりません。
ですので、もし女性側から婚約を破棄した場合は男性に対して慰謝料を支払わなければなりません。
──男性が女性に慰謝料請求できるとして相場はどれくらいになりますか
慰謝料の額は50〜100万円となるケースが多いです。式場に実際に費用を支払った、結婚後の新居を購入した、など結婚に向けて金銭を支払ったような場合は慰謝料が高額になる傾向があります。
婚約は結婚に向けての真摯な約束であり、その後の人生に関わることでもあります。一旦婚約したのであれば、安易に婚約破棄とならないようにお互いに気をつけましょう。