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岡口判事の罷免判決、「妥当ではない」が78%<緊急弁護士アンケート>「投稿内容が不適切」「裁判体の構成に大きな問題」
岡口基一氏(2024年4月3日、弁護士ドットコムニュース)

岡口判事の罷免判決、「妥当ではない」が78%<緊急弁護士アンケート>「投稿内容が不適切」「裁判体の構成に大きな問題」

裁判官弾劾裁判所は4月3日、仙台高裁の裁判官(=当時、職務停止中)だった岡口基一氏に対し、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があった」として、罷免判決を宣告した。

弁護士ドットコムでは今回の罷免判決をめぐり、会員弁護士に対して緊急アンケートを実施した(2024年4月4日〜4月5日)。673人から回答があり、罷免判決が「妥当ではない」と答えた人が77.9%(524人)、また68.4%(460人)が「裁判官が萎縮すると思う」と回答した。

●「行為と責任(罷免)とのバランスが取れていない」

弾劾裁判は1947年の制度創設以来10回目で、罷免判決は8例目。岡口元判事は、裁判当事者に対する不適切なネット投稿など13個の行為について訴追されていた。

「今回の罷免判決は妥当だと思いますか」との質問には、「妥当だ」が18.1%、「どちらともいえない」4%で、77.9%が「妥当ではない」と回答した。

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岡口氏は判決宣告にともない、裁判官の身分だけでなく、検察官や弁護士になる資格も失った。退職金も支給されない。不服を申立てる手段はない。

なお、5年が経過するなどの条件が整えば、資格回復の裁判を受けることができる(裁判官弾劾法38条)。過去、罷免となった裁判官7人のうち5人が計7回請求しており、最終的には4人の資格が回復している。

この結果を弁護士はどうみるのか。自由回答から一部を紹介したい。

【自由回答】

「一連表現活動の内容は著しい非行に当たる」(「妥当だ」)

「繰り返し投稿した内容が不適切すぎる。なぜそこまで投稿するのか不明。表現の自由も後退せざるをえない」(「妥当だ」)

「罷免は重きに失する。不適切、不適当とは、別の次元の問題である」(「妥当ではない」)

「岡口氏のTwitterの内容はリテラシーに欠けた部分があり、一定の不利益を被るべき行為であったとは思われるが、「罷免」という結果が重すぎる」(「妥当ではない」)

「行為と責任(罷免)とのバランスが取れていない」(「妥当ではない」)

「法曹資格まで失わせるのは行き過ぎ」(「妥当ではない」)

「罷免により法曹の資格を失わせる重大性と釣り合わない」(「妥当ではない」)

●「罷免以外の軽い処分を作ることが必要ではないか」

次に「今回の罷免判決が裁判官の萎縮を招くことにつながると思いますか」と質問したところ、「思う」が68.4%、「思わない」が23%、「どちらともいえない」が8.6%となった。

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最後に今回の裁判のあり方や結果について聞くと、様々な声があがった。

【自由回答】

「厳しい結果と思うが、憲法のもとでこの仕組みは仕方がない」

「上訴は認められるべき。また、法曹資格そのものを失わせるのは相当ではない」

「人民裁判の恐ろしさを21世紀の日本で痛感するとは思いませんでした」

「罷免以外の軽い処分を作ることが必要ではないか」

「罷免裁判に対する上訴がないんですかね?しかも罷免裁判のメンバーが議員さんというと、事実認定や量刑判断が偏る気がしました。メンバーの人選も気になりました」

「軍法会議のようなもので、仕組みとしてはやむを得ないのではないかと思います」

「多くは非専門家であり、かつ裁判官の統制を強める方向のインセンティブしか持たない、国会議員のみで裁判をすることの問題点を感じた」

「裁判官には強い身分保障があるのだから、その反面、人民裁判的な弾劾裁判で絶対的に失職させるという制度はあってしかるべきだと思う」

「三権分立からこの仕組みはやむを得ないが国会議員による判断がひどすぎる。法の支配が及んでいない」

「審理をするのが法律的知識・経験・素養の乏しい国会議員という時点で構造的に問題があります」

「裁判体の構成に大きな問題があると思います。通常の裁判で、裁判官が欠席している中で進行されるなどあり得ません。そもそも弾劾裁判がそのような進行を許す形式になっていることは、システム上の大きな問題だと思います」

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