『週刊文春』に性加害疑惑を報じられたダウンタウンの松本人志さんが、版元の文藝春秋を提訴したのは1月22日付だったが、文藝春秋によると、2月15日現在、まだ訴状は「未着」だという。
提訴日から数えて24日も経過して、いまだに被告側に訴状が届かないとなれば、通常では考えられないようなことが起きているのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。
●通常であれば「2〜3週間」程度で
——通常、提訴からどれくらいで被告に訴状が届くのでしょうか
提訴とは、一般的に「裁判所に訴状を提出して受付してもらうこと」を指していると思います。
裁判所で受付されると、事件番号がふられて、担当部に引き継がれます。その担当部の書記官が訴状審査をおこないます。
訴状審査は、記載されるべき事項に取りこぼしがないかをチェックするものですが、これには通常10〜15日くらいかかります。ただし、文量が多いとか、補正すべき点が多いなどの事情があれば、さらに時間がかかることもあります。
訴状審査の細かさは、書記官次第という印象が強く、内容面の補正を強く求める書記官もいます。
また、書記官が多忙なために対応が遅れてしまう、ということもあると感じます。
訴状審査が終われば、第1回期日をいつにするかという調整が、原告との間でおこなわれ、被告に対して呼出状と訴状などが送達されていくことになります。
ここまでにかかる時間は、だいたい2〜3週間というイメージです。
3週間過ぎても届かないのは、やや遅いという気はしないでもないですが、もっと時間がかかるケースもあり、おかしいという印象はあまり感じません。
●被告が答弁書を提出する前であれば、訴えの取り下げは可能
——提訴を表明してから、訴えを取り下げることも考えられるのでしょうか
訴えの取り下げは、被告が答弁書などを提出したり、口頭弁論を開いたりしたあとは、被告の同意がなければできませんが、その前であればいつでも可能です。
提訴を表明した以上、取り下げは一般的にあまりないことだとは思います。ただし、法律上は問題なく可能ということになります。