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「彼女を守るために離婚できない」不倫発覚の夫が仰天の開き直り 法的な対処法は?
画像はイメージです(Pangaea / PIXTA)

「彼女を守るために離婚できない」不倫発覚の夫が仰天の開き直り 法的な対処法は?

結婚数カ月後の、まだ新婚と言える時期に「夫に長年付き合っている彼女がいることが発覚しました」。このような相談が弁護士ドットコムに寄せられています。

ひょんなことから不倫が発覚し、夫も認めました。振り返ってみると交際中から、自宅に会いに行こうとすると、語気を強めて「来るな。病気の従姉妹と一緒に住んでいるから迷惑だ」と拒否をするなど、不審なことはありました。

夫と相手は頻繁に会っており、携帯には「彼女との親密なやり取り」が残されています。話し合いや離婚を求めても「俺の家族は彼女だけ」と言われ、「病気の彼女とは親に反対されて結婚ができなかったからお前と籍をいれた」と言ってくるそうです。

ところが、離婚は拒否しています。このような状況で、相談者は夫を結婚詐欺や不貞行為で訴えることができるのでしょうか。その場合、離婚は認められるのでしょうか。光安理絵弁護士に聞きました。

●夫が拒否しても離婚は認められる?

ーー離婚は認められる?

とても辛い状況ですね。まず、夫を不貞行為で訴えることは可能です。夫の携帯に残されている「親密なやり取り」の中に、夫と彼女との肉体関係の証拠が残っているとよいです。法的に「不貞行為」とは性行為を指すからです。

もっとも、証拠がなくとも、夫自身が彼女との肉体関係を認めていれば問題ありません。その場合、肉体関係を持っていたという一筆を書かせておきましょう。

次に、離婚が認められるかについてです。不貞行為は、法律に明確に記載されている離婚事由です。よって、不貞をされた側は、当然に離婚を請求でき、相手が拒否したとしても離婚裁判で勝てます。夫が離婚を拒否していても、相談者は離婚できます。

ーー慰謝料の金額はどのくらいと考えられますか

夫に請求できる慰謝料額は、裁判で決着をつける場合200万円前後が多いです。結婚期間や不貞期間の長さ、夫の資力により、もっと高額になることもあります。夫婦で慰謝料額を協議して決めるならば、慰謝料額はいくらでも構いません。

ーー相談者は何も知らずに結婚したことを後悔しており、この結婚は詐欺ではないか?と不満を抱いているようです

通常、結婚詐欺とは、結婚すると見せかけてお金を貢がせ、結婚直前に連絡が取れなくなる、お金も返してもらえないといった事案を指します。

今回の場合、相談者としては、夫に長年の彼女がいて、結婚後も別れないと知っていれば結婚しなかったのに!詐欺だ!ということをおっしゃりたいのだろうと思います。

しかし、結婚した後、夫の気持ちが変わってその彼女と別れる可能性もあるため、結婚時点では、夫がその彼女と別れるのか別れないのかは未定であり、確実にだまそうとしたという立証が困難であるとされています。

そのため本件で警察が刑事事件の詐欺として動くことはありません。ただ、不貞の態様が悪質であるとして、慰謝料の加算事由になるでしょう。

プロフィール

光安 理絵
光安 理絵(みつやす りえ)弁護士 ソレイユ総合法律事務所
大阪大学法学部、同大学院法学研究科修了後、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)入社、本社法務本部配属。2003年司法試験合格、東京地方検察庁、横浜地方検察庁を経て仙台弁護士会に弁護士登録。2021年度仙台弁護士会副会長。現在、ソレイユ総合法律事務所代表弁護士を務め、離婚事件、交通事故事件、刑事事件等を多数扱っている。

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