今月行なわれた衆議院選挙について、人口比例に基づかない区割りで「一票の格差」が是正されないまま行なわれたのは憲法違反であるとして、弁護士グループが東京1区など計27の選挙区での選挙無効を求め、全国14カ所の高等裁判所や高等裁判所支部すべてに一斉提訴した。
昨年、最高裁判所は最大格差が2.30倍だった平成21年の衆議院選挙を違憲状態と判断していたが、今回の衆議院選挙では格差が約2.43倍まで拡大する結果になった。
そこで今回は特別編として、弁護士ドットコムに登録する弁護士に「自分が最高裁判事なら今回の衆院選は選挙無効と判断するか」を聞いてみた。
一票の格差が是正されないまま行なわれた今回の衆院選について、もし自分が最高裁判事なら選挙無効と判断するかというアンケートの結果、約77%の弁護士が「違憲と判断するが、選挙無効は認めない。」と回答した。
やはり前回の衆院選について「違憲状態」という判断がされている以上、今回は「違憲状態」ではなく「違憲」と判断すべきと見ている弁護士が多いようだ。
(※違憲状態とは、諸事情を考慮するとただちに違憲とはいえないが、今後合理的な期間内に不平等が是正されないと違憲とされる状態のこと。例えば、選挙実施時の選挙区の定数配分が一票の格差を生じる状態であったとしても、実際にはその是正のために公職選挙法を改正するような合理的な期間がなかった場合には、「違憲」ではなく「違憲状態」の判断が示される。)
一方で、今回のアンケートでは少数派となったが、「合憲」と判断するとした弁護士の意見や、同じテーマの判決予想では見られなかった「選挙無効を認める」という立場からの意見もあるので、現実論の意味合いが強い判決予想と、個人の主観が出る本アンケートの結果の違いをぜひ比べてみてほしい。