ラルク30周年ライブ「座席レイアウト」予告なく変更、批判の声…法的に問題ない?
座席レイアウトの比較

ラルク30周年ライブ「座席レイアウト」予告なく変更、批判の声…法的に問題ない?

ロックバンド「L'Arc-en-Ciel」結成30周年の記念ライブ「30th L'Anniversary LIVE」が5月21日・22日に東京ドームで開催されるが、会場の座席レイアウト変更をめぐり、SNSなどで話題となっている。

記念ライブの公式ホームページによると、座席は全席指定で、ステージに近い座席順に「W会員シート(2万2000円)」「SS席(2万2000円)」「S席(1万6500円)」「A席(1万1000円)」が設けられている。

変更前の座席レイアウトでは、「W会員シート」と「SS席」はアリーナ席(野球のグラウンド部分)、「S席」は1階スタンド席、「A席」はバルコニー席と2階スタンド席となっていた。

ところが、変更後の座席レイアウトでは、「W会員シート」こそ変更なかったものの、「SS席」はアリーナ席のほかに1階スタンド席の一部を追加、「S席」は1階スタンド席のほかにバルコニー席全席と2階スタンド席の一部を追加、「A席」はバルコニー席がなくなり2階スタンド席のみとなった。

たとえば、1階スタンド席に座れると思って「S席」のチケットを購入したのに、もし2階スタンド席を割り当てられたら「話が違う」と思う人もいるかもしれない。

SNS上でも、今回の変更について、「ありえないよ」「アリーナがスタンドになったらそりゃ怒るよ」など否定的な意見が多くあがっている。

ホームページ上の座席レイアウト表には、「座席図はイメージとなります」「ステージや座席レイアウトは予告なく変更になる場合がございます」との注意書きが変更前から記載されているが、今回のような座席レイアウトの変更は問題ないのだろうか。

芸能・エンターテインメント分野にくわしい河西邦剛弁護士に聞いた。

●「返金などの対応が必要では」

——「座席図はイメージとなります」「ステージや座席レイアウトは予告なく変更になる場合がございます」との注意書きがあったとはいえ、今回のような座席レイアウトの変更は法的には問題ないのでしょうか。

法律的な問題が生じうると考えます。

ポイントは、座席ランクごとに異なる価格設定をしていることと、座席レイアウト図の大きさです。

ファン側はレイアウト図を見た後に、これに基づいて、たとえば「SS席」として案内された範囲内のチケットを購入する意思で申し込みをしている可能性が十分にあります。

そうすると、法律的には当選後のチケット代金の支払いにより、SS席ゾーンのチケット購入契約が確定しているといえます。

したがって、事前のレイアウト図でSS席と表記のあった範囲外の席を割り当てれば契約違反になる可能性があり、応募者からの契約解除つまり返金請求がなされた場合には応じざるを得なくなる可能性は十分にあります。

「座席図はイメージとなります」「ステージや座席レイアウトは予告なく変更になる場合がございます」との注意書きが変更前から記載されているようですが、写真イメージとして大きくレイアウト図が表示され、たしかに文字で表記はされているものの、レイアウト図に比較し極めて小さい文字で記載されています。

ファン側としてはレイアウト図を見てどこに申し込むか判断することは容易に想定できますし、座席の区分によって異なる価格設定がなされている以上、主催者側が無制限に座席変更する選択権が与えられているとは法的には考えにくいです。

——たとえば、主催者側が「アリーナより段差があるスタンドの方がむしろ見やすいから問題ない」と反論した場合にはどうでしょうか。

事前のレイアウト図があり、それに応じてファン側は支払いをしているのですから、法的にはそのような反論は認められにくいでしょう。

たとえば、逆に「私は身長が低いからあえて段差ありのスタンド席を申し込んだ」という人に、フラットアリーナ席が割り当てられたら納得できないでしょう。

——今回のような座席変更はよくあることなのでしょうか。また、主催者側は、今回のような変更をおこなう場合、どう対応すべきなのでしょうか。

このような座席変更はほとんど聞いたことがありません。

主催者側としては、変更後の座席図が確定した時点でウェブサイトで告知し、返金を求めるファンには返金し、変更に応じるファンには差額を返金するなどの対応をするべきではないでしょうか。

●主催者側のコメント

ライブを主催するSOGO TOKYOは、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「取材は受けていない」と回答した。

(5月21日12時10分、一部修正しました)

プロフィール

河西 邦剛
河西 邦剛(かさい くにたか)弁護士 レイ法律事務所
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。「清く楽しく美しい推し活 ~推しから愛される術(東京法令出版)」著者。

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