友人の結婚式の余興で「裸踊り」を考えている。法律上問題ないのかーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられた。
相談者の男性は、披露宴の場で、男性複数人が全裸で音楽に合わせてうちわで股間を隠す「裸踊り」をする計画を立てています。お尻は参加者に見せるそうです。
男性は問題がありそうだからやめたいと思っているそうですが、「話が仲間内で進んでしまって、せめてどこを気を付ければよいか困っています」と打ち明けます。
ふんどしや肌色のスパッツを履いたりすれば問題ないのでしょうか。また、動画で撮影したものを上映すればリスクは減らせるのでしょうか。髙橋裕樹弁護士に聞きました。
●裸踊り「公然わいせつ罪」に当たる可能性
「うちわで股間を隠す裸踊りと聞いて、多くの方が昨年ブレイクしたアキラ100%さんを思い出すのではないでしょうか。アキラ100%さんは、テレビを見る方に股間もお尻も見せないようにお盆で隠していますが、今回の相談者さんは、お尻は出す予定とのことなので、そのあたりが法律的にどう影響してくるかご説明します。
まず、ご質問の『裸踊り』については、公然わいせつ罪(刑法174条、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金)と軽犯罪法違反(法1条20号、拘留または科料)に該当する可能性があります」
結婚式の場でも、公然わいせつ罪に当たる可能性があるのですか
「公然わいせつ罪は、簡単にいいますと、公衆の面前でわいせつな行為をすることです。公共の場所で股間等を出した場合、公然わいせつ罪にあたりうることになります。なお、お尻を出したことで公然わいせつ罪で逮捕されている件もあります。
軽犯罪法は、公衆の面前で、性的な不快感を与えるような方法で、お尻やもも等を出す行為を処罰しています。お尻やももを出す場合は、TPOをわきまえましょうというやや曖昧な犯罪です。
結婚式場も不特定多数の人が出入りする場所である以上、公衆の面前といえます。その場での裸踊りで、股間を出してしまった場合、例えアクシデントであっても想定される事態である以上、公然わいせつ罪になる可能性があると思われます」
●前もお尻も隠す必要がある
うちわで股間を隠したら、どうでしょうか
「前張りをして股間を隠せば、公然わいせつにはならないとしても、お尻を見せる行為は、露出の程度によっては公然わいせつ罪や軽犯罪法に該当する可能性があります。なお、男性が裸踊りの態様でももを露出させることは通常は軽犯罪法にも該当しないものと思われます」
裸踊りをする際は、前もお尻もパンツなどを履いてきちんと隠す必要がありますね
「裸踊りは『失敗したら見えてしまうんじゃないか』というドキドキ感がおもしろみなのだとは思いますが、法律的には、やはり股間もお尻もしっかりと隠してリスクヘッジをしておきましょうということになります。
なお、ふんどしはお祭りの場で、スパッツはスポーツなどの場で目にするもので、特段性的な不快感を与えるものではないと考えられます」
●動画だったら?
裸踊りの様子は、動画で上映する方法にしてもダメでしょうか
「動画の上映はわいせつ物頒布罪(刑法175条、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金)に該当する可能性があります
要は股間が映り込んだ動画を再生したら、わいせつ物を公然と陳列したことになってしまう可能性があります。もっとも、動画でやる以上は、股間はまず映り込ませないと思いますが、お尻については露出の程度によってはわいせつ物頒布罪にあたる可能性もあります。
結婚式というフォーマルな場での裸踊りは非常に盛り上がる可能性はありますので、やってはいけないとまでは思いません。ちゃんと前張りをして、お尻も隠して、そして事前の練習をしっかりやって来場者に股間やお尻が見えないようなクオリティに仕上げて本番に臨んでいただければと思います」