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「テストで90点とったらゲーム買ってやる」→「93点はダメ」 こんなのアリ?
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「テストで90点とったらゲーム買ってやる」→「93点はダメ」 こんなのアリ?

「テストで90点とったらゲームを買ってやる」。子どものころに親と交わした約束。しかし、目標を上回る「93点」をとったのに、「90点じゃないから駄目」と買ってもらえなかったーー。そんなツイートが話題になっている。

確かに獲得した点数は「93点」であって「90点」ではない。だが、一般的な解釈からすれば、高得点であればあるほど望ましいことは明らかだろう。

仮にこのような約束をしたとき、法的にはどのように解釈できるのだろうか。字面通りに「90点ジャスト」じゃないからダメとなるのか、はたまた「90点以上」だからゲームを買うべきとなるのか。河野晃弁護士に聞いた。

●ちゃんと常識的に判断されます

親からすれば、「子どもが誤解した」ということになるのだろうが、河野弁護士によると、こうした主張は通じないという。

「親子間の話なので他人が割り込みにくい話ではありますが…。とはいえ、文脈を見たときに、『テストで90点とったら』という条件の部分は、一般常識に照らし、より正確に表現すれば、『テストで90点以上とれたら』と解釈されるべきでしょう」

「そうだとすれば、法律的にどうこうというより、裁判になった場合の事実認定としては、『90点じゃないから駄目(買わなくて良いという解釈)』という反論には無理があるように思います」

ということは、親はゲームを買ってあげないといけないのだろうか。

「理屈だけの話でいえば、買ってあげないといけないということになります。ただ、親子の関係、教育方針などについて、他人がとやかく言うべきではないのではないかと思ってしまいます…」

「親御さんの立場からすれば、約束を破ることで、今後はお子さんが何をいっても勉強をしなくなってしまうということもあるわけですし。とはいえ、テストのたびにゲームを買わなければいけないというのも、何か違うような気もします。あくまでも個人的な意見ですが。いち弁護士がとやかくいう話題ではないように思います」

最終的な判断は、法律にはなじまなさそうだ。なお、今回の事例は口約束だった。

「書面によらない贈与(口約束)は履行が終わっていなければ各当事者が撤回できますので、贈与の約束を反故にされたくない場合は書面を取り交わしておきましょう」

子どもにそこまでを求めるのは酷だろう。やはり、親に対抗するのは難しいということかも知れない。

プロフィール

河野 晃
河野 晃(こうの あきら)弁護士 水田・大江法律事務所
兵庫県弁護士会所属。2010年弁護士登録。民事事件(中小企業法務・交通事故等)、家事事件(離婚・相続)、刑事事件など、多種多彩な業務を行う。趣味はゴルフ、野球など。日本一話しやすい弁護士を目指す。

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