愛知・中3男子の同級生殺害事件 逮捕された14歳を待ち受ける刑事手続とは?
手続の流れは?

愛知・中3男子の同級生殺害事件 逮捕された14歳を待ち受ける刑事手続とは?

愛知県弥富市の公立中学で11月24日、中3の男子生徒が始業前、同級生に腹部を刺されて死亡した事件が大きく報じられている。NHKなどの報道によれば、刃物で刺した生徒は殺人未遂の疑いで現行犯逮捕され、同25日には殺人容疑で送検された。

生徒の年齢はともに14歳であるためか、Twitterやネットニュースのコメント欄には「少年法をなくせ」などというコメントも投稿されている。

今回の事件に限らず、未成年の事件では少年法に対する批判が度々、話題になるが、14歳の少年が逮捕された後、実際にはどのような手続きが始まるのだろうか。(監修・澤井康生弁護士)

●少年が逮捕された後の手続き

14〜19歳の少年が警察に逮捕された場合、捜査段階では成人と同じく警察で取り調べを受けるが、原則として捜査機関から家庭裁判所に送致され、少年審判を受けることになる。

ただし、少年が十分改心するなど審判廷に呼び出す必要がないと判断された場合は、審判手続をしないで終了することもある。

家庭裁判所による少年審判が開かれる場合は原則非公開で、少年鑑別所による鑑別結果や、家庭環境等の調査結果、付添人による意見などを踏まえ、(1)処分しない、(2)児童相談所などへ送致する、(3)保護観察や少年院送致などの保護処分とする、(4)検察官へ送致する、といった決定をおこなう。

(4)が一般に「逆送」と呼ばれるもので、殺人などの重大事件について、刑事処分が相当であると判断された場合におこなわれる。犯罪行為時に16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させたことが疑われる事件の場合には、原則として逆送となる(少年法20条2項)。

検察官に逆送された場合、少年は原則として起訴され、その後の刑事手続は基本的に成人と同様だ。

もっとも、有罪とされた場合の刑罰は、成人に比べて緩和されるケースがあり、たとえば14歳以上18歳未満の少年は死刑にすることができず、死刑で処断すべきときは「無期刑」になる(少年法51条1項)。

また、無期刑の言い渡しを受けた少年については、「7年」を経過した後、仮釈放をすることができるとされており(少年法58条1項1号)、成人の場合の「10年」(刑法28条)に比べ緩和されている。

さらに、成人なら無期刑が選択されるような場合でも、14歳以上18歳未満の少年については10年~20年の有期刑とすることが可能となっている(少年法51条2項)。

●少年法改正で「原則逆送対象事件」が拡大

成年年齢が20歳から18歳に引き下げられるのに伴い、新たに18歳と19歳を「特定少年」と位置づけ、厳罰化と実名報道を可能にする改正少年法が2022年4月1日に施行される。

改正法では、特定少年による事件については、「16歳以上の少年が故意に被害者を死亡させたことが疑われる事件」に加えて、「特定少年が犯した疑いのある死刑、無期または短期(法定刑の下限)1年以上の懲役・禁錮に当たる罪の事件」が追加されることになった。

その結果、特定少年については、現住建造物等放火罪、強制性交等罪、強盗罪、組織的詐欺罪などが新たに「原則逆送対象事件」の対象となる。

原則逆送対象事件が拡大されたのは、選挙権を持ち民法上「成年」として扱われる18歳と19歳が重大な犯罪をおこなった場合には、17歳以下の少年よりも広く刑事責任を負うべきとの考えによるものだ。

改正により、 有罪とされた場合の刑罰にも違いがでる。たとえば、判決で有期の懲役が科される場合、17歳以下の少年の場合は最長15年以下の範囲で刑の長期と短期を定める不定期刑が言い渡されるが、特定少年の場合は20歳以上と同様に最長30年以下の範囲で定期刑が言い渡されることになる。

また、犯罪行為時に17歳以下の少年が刑罰に処せられた場合、資格の取得等に関する制限(公務員への就職の制限など)が緩和されるが(少年法60条)、犯罪行為時に18歳・19歳の少年が刑罰に処せられた場合は、20歳以上の場合と同様の制限を受ける。

なお、現在は少年の実名報道が禁止されているが(少年法61条)、特定少年の場合、逆送され起訴された場合には実名報道が認められるようになる。

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