
地域に根ざした弁護士として民事事件と労働問題に注力 依頼者の悩みと真摯に向き合う
弁護士までの長い道のり 挫折を経験したからこそ、相談者の気持ちに共感できる
ーー弁護士を目指した理由やきっかけを教えてください。
中学生の頃に、目上の大人から理不尽な嫌がらせを受けたことがありました。大人と子どもの間には埋められない力関係があると感じて、ショックを受けました。立場が弱い人が強い人にねじ伏せられないためにはどうすればいいか悩む中で、社会のルールである法律を学びたいと考えるようになり、法学部を目指すようになりました。
大学に進学して憲法を学んだときには、立場の弱い人への理不尽を許さない毅然とした法の姿勢を知って、感動しました。また、それまで疑問に思っていたことが少しずつ整理されていくような気持ちになったことを覚えています。
大学に入学した当初は、検察官になることも考えていました。最終的に弁護士になりたいと思うようになったのは、インターンシップなどを通して弁護士の仕事を間近で見る中で、困っている人達に直接寄り添えることに魅力を感じたからです。
ーーどんな学生生活でしたか?
大学1年生のときから司法試験の勉強を始めました。ただ、同じ頃に「暴力にも屈しないように」と考えて入部した少林寺拳法部にすっかりのめりこんでしまい、引退するまでは部活動中心のような生活でしたね。
その後はロースクールにも通いましたが、結局司法試験に合格するまでに時間がかかり、挫折や不安と戦う日々を過ごしました。でも、その日々があったからこそ、弁護士として相談者の方の不安や心細さに敏感になり、心の痛みを解消するために何ができるのかを考えられるようになったと思います。
社会人・学生を問わず労働者の悩みを解決
ーーどのような相談を受けていますか。
民事・家事事件を中心に様々な相談を受けています。特に多いのは労働トラブルです。ハラスメントや未払い残業代に関する相談が多く寄せられます。
ーーハラスメントを受けた場合、どうすればいいでしょうか。
できるだけ早く、弁護士に相談していただきたいです。在職中に相談していただければ、証拠の集め方などをアドバイスできます。
実際のところ、会社を辞めた後や休職した後に相談に来る方が多く、それもやむを得ないのですが、一度会社を離れてしまうと証拠集めは難しいです。証拠がなければ、裁判で勝つ見込みが低くなりますし、得られる解決金の額も低額になってしまう可能性があります。
ーー労働分野を手がけるうえで心がけていることは何ですか。
裁判となると、依頼者は長い間、会社との問題に向き合うことになります。場合によっては、数年間にわたって裁判が続くことも少なくありません。
労働事件に限ったことではありませんが、依頼者の人生において大事な時間を裁判に費やすことが妥当なのか、ということは常に考えるようにしています。その方個人にとってトラブルを解決するための最良の方法が何なのかを一緒に検討してアドバイスしています。
ーー学生のブラックバイト問題に関する活動もしているのですね。
はい。若手弁護士を中心に結成した「ブラックバイト対策弁護団あいち」という弁護団に所属していて、無料相談を受け付けたり、大学や専門学校で労働法をわかりやすく説明する講演や勉強会をおこなったりしています。
学生の中には、労働法の知識がないために、気づかないうちに権利を奪われたり、働き方に疑問を感じてもどこに相談すればいいかわからず悩んでいたりする方が多くいます。学生であっても労働者である以上、当然、労働法で認められた権利があります。トラブルに悩む学生をサポートできればと思い、この活動に取り組んでいます。
依頼者の悩みと言葉に真摯に向き合う
ーー仕事をする上で心がけていることはありますか?
全てのご相談に対して真摯に向き合うことです。お話をよく聞いて、その方が何を求めているかを汲み取り、最大限、希望に沿った解決ができるよう努めています。
相談者に少しでも安心していただきたいので、気持ちが前向きになっていただけるように意識してお話をしています。
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方を教えてください。
休日も仕事をすることが多いのですが、空いている時間に家事をしたり家族と出かけたりしています。
身体を動かさないと、と思って最近はジムにも通い始めました。学生時代に打ち込んだ少林寺拳法も再開したいと思いながら数年が経っています。
ーー今後の展望について教えてください。
私の所属する事務所は、地域に根差した法律事務所であることをモットーにしています。地域の方によりよいサービスを提供できるよう、今後も、知識と経験を積んでいきたいです。
日々の案件対応に追われてなかなか時間が取れないのですが、貧困問題対策などの社会活動にも再び力を入れて取り組みたいと思っています。
ーー法律トラブルを抱えて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
悩んだらすぐに相談に来ていただくのが1番です。「こんなことを相談していいのかな」とおっしゃる方は多いですが、私たちはどんな相談でもウェルカムです。トラブルに巻き込まれてしまったらとにかく、「弁護士に相談に行ってみよう」と思っていただきたいですね。