折井 真人 弁護士 インタビュー
弁護士を目指したきっかけ
比較的身動きが取れる若いうちに興味のあった海外支援に携わりたいと思い、弁護士になる前に青年海外協力隊に参加していました。青年海外協力隊の経験を経て、人の役に立つためには、役に立ちたいという気持ちだけではダメで、役に立つだけの技術・能力が必要である、とくに社会的弱者のサポートをするには、社会の諸制度に関する専門家になることが望ましい、と痛感しました。
このような視点からは、弁護士が一番イメージに近かったので弁護士を目指しました。
再び海外での援助支援に携わりたいという希望は現在もあります。しかし、具体的に何年後にやろうというようなものではありません。日本国内のことは日本人がやるのが筋だろうと思いますので、まずは日本人として日本国内で使い物になるように頑張る、という思いで活動しています。
仕事の中で嬉しかったこと
離婚事件や破産事件など、事実経過が悲惨な事案において、相談時には非常に落ち込んでいたりネガティブだった依頼者が、事件処理の過程で事実にきちんと向き合うことで、依頼者自身が問題を認識できて、現状を乗り越えて行こうという気持ちになり、終了時には別人のように前向きな雰囲気になってくれたことが何件かあり、こちらとしても非常に嬉しかったです。
弁護士になって大変だと感じること
依頼者との信頼関係をすみやかに築くことですね。弁護士にはついつい事案処理に必要なことだけを依頼者に聞きたがる傾向があると思うのですが、最初は本人のペースで話してもらうことを意識しています。依頼者の方に、「私の話を聞いてくれる」という感覚を持ってもらうことが、信頼関係を築く上では必要だと思います。ですので、なるべくその人の土俵で話を聞くようにしています。
仕事をする上で意識していること
依頼者から、必要な事実関係をどれだけ聴取できるか、ということを意識しています。そのために、相手の目や顔を見て、ちゃんと話してもらえているか、依頼者の方に十分話してもらえる雰囲気ができているか、常に意識しています。とくにノウハウやマニュアルのようなものは意識していません。皆さんそれぞれ持っている個性を感じ取るためには、マニュアル的発想を持たない方が、自分には向いていると思っています。
一方、内容の漏れや弁護士と依頼者との事実の評価の違いが生じる部分については、経験を積めばある程度わかってくるので、違和感を覚えたり、深く聞く必要があると感じる箇所については、こちらから質問を投げかけたりして、全体像を掴むことや、見誤りを防ぐよう心がけています。
関心のある分野
沖縄では、弁護士は特定の業務分野に特化することはあまりなく、さまざまな分野の依頼があり、これを処理するので、強いて言えば全ての分野に関心がありますし、そうあるべきと思っています。処理経験がないという理由で受任を控えることは、基本的にはしていません。新しい分野の案件を受任する場合、その分野の専門家になるぐらいの気持ちで臨んでいます。
沖縄弁護士会は、会員同士の関係が良く、よくわからない分野でも、誰かに聞けば情報提供もらえることが多いので、そこは助かっています。弁護士同士の肌感覚というものは重要で、文献やネットで調べただけではピンとこないことでも、~~という手続は、ここが大変だった、といったお話は、かなりヒントになります。もっとも、自分からも積極的に情報提供しないといけません。そこはお互い様ですね。日頃からの人間関係は大事です。
今後の弁護士業界の動向
弁護士増員に伴って職業倫理の高くない人が増えていくことを懸念しています。弁護士は他の士業と比べても高度な権限を有しており、高度な倫理観が求められています。日常の業務は各自の経済活動の一環ではありますが、自分や依頼者の利益のためであれば何でもしていい、ということではないですよね。準備書面の記載を見ても、いたずらに攻撃的な表現や感情的な表現をしても、当方に有利な心証を得ることになるわけでもないし、相手方本人・代理人にとっては、単に感情を害するだけです。和解の機運を消すことにもなりかねません。私は、訴訟代理権が基本的に弁護士にのみ付与されていることに対して、高い意識を持って業務に臨み続けたいです。
また、弁護士に限ったことではないですが、コミュニケーション能力の十分でない人が増えているように感じます。そのことで、依頼者との間でも相手方や関係者との間でも、うまく処理ができないケースが増えているのではないかと懸念しています。
個別の事件の依頼者の利益を守るために大切なことは、勝ち筋の事件は事実関係の聞き漏らしなくきちんと進めること、負け筋の事件でも事実関係をきちんと把握し、弱点を適切に説明して、できれば妥当な和解に導くことだと思っています。その前提として、依頼者との十分なコミュニケーションを取ることが重要です。言うは易く行うは難しですが、日々精進していきたいと思っています。