法を根拠にした揺らがぬ姿勢で、依頼者の悩みや不安を受け止める。常に冷静・誠実な対応が信条
法律で悪者を追い詰める弁護士に憧れて
ーー弁護士を目指すきっかけになったのは、どんなことですか。
弁護士の仕事を知ったのは、小学生の時に「都会の森」というドラマを観たことがきっかけです。法律を使って悪い奴を追い詰める姿がかっこいいと思いました。でも、その時点ではまだ、真剣に弁護士を目指そうとは考えていませんでした。
大学進学を考えた時に兄から「法学部に入れば、就職するときに選べる選択肢が広くなる」と聞き、特に弁護士を意識するでもなく法学部に進学しました。
法学部には当然ながら司法試験を目指す級友が多く、彼らに感化されたのと同時に、せっかく法学を学ぶのだからこの道の専門家になりたいと思い、弁護士を目指して本格的に勉強を始めました。
大学時代から関心がある消費者問題に取り組む
ーー特に力を入れている分野はありますか。
現在、神奈川県消費者問題研究会や悪質サイト対策弁護団などに参加して、消費者被害の解決に取り組むNPO法人とも連携しながら、被害に遭った方の法律相談や弁護を引き受けています。
消費者被害に興味を持ったのは、大学時代に、いわゆる悪質商法について学んだことがきっかけです。この問題は悪者と被害者がはっきりしていて、それでいて被害者が泣き寝入りを余儀なくされることが多いと知り、難しいけれどやりがいを感じられる分野だと思いました。
実際、被害額が数万円程度の事件では、弁護士に依頼して裁判を起こしたいと思っても、最終的に獲得できる金額よりも諸費用のほうが多くかかるケースが少なくありません。弁護士に依頼するメリットがあまりないことも多く、依頼者に「回収は難しいかもしれません」と厳しい見通しを伝えることもあります。
なかなか難しい問題ではありますが、野放しにしていいことではないので、継続的に取り組んでいます。
判例は一つの目安。見通しは伝えても不誠実な確約はしない
ーー依頼者との面談の際に心がけていることはありますか。
依頼者が話している最中に遮らないことでしょうか。私の方で話の内容を整理した方が早いと思っても、依頼者が「話してしまいたい」と思っていることは全部聞いて、それから事実関係を整理するようにしています。
よく、「勝率は何パーセントくらいですか?」と質問されますが、数字で示すことは難しいです。というのも、似たような判例はあっても、細かい部分まで全く同じという案件はないからです。
もちろん、見通しはお伝えします。しかし、その見通しもあくまで私が考えていることであって、裁判官がどう考えるかはまた別です。確信ある答えが知りたいという気持ちはわかります。ただ、私は最後まで分からないことを事前に言いきることは不誠実だと思っているので、そこはご了承いただきたい部分です。
最終的に依頼者に満足してもらえる弁護とは
ーー依頼者はトラブルを抱えてとても不安な気持ちでいると思います。そうした人に対峙する際、どうやってその不安を取り除くのですか。
まず「お気持ちはわかります」という共感を示しつつ、私自身はあくまで冷静に、法に基づいてどんなサポートができるかを検討し、提案するようにしています。
逆に、法的な根拠に基づかないと、どういう立場でお話していいかわからなくなってしまいます。私が不安定な足場に立ってお話しても、かえって相談者の方の不安が増すだけです。
ですから、私は情に影響されないように、法的にその悩みを整理して、答えや選択肢を出すことが役目だと考えています。時には、気持ちはわかるけれど法的にはどうにもならないこともあります。プロとしてそれをわかっていながら、「やるだけやってみましょう」というような引き受け方をするのは無責任です。
最終的に依頼者に満足してもらえる弁護とは何かーー。まず、弁護士としてできることとできないことをはっきり伝えること。その理由をきちんと説明すること。そのうえで、依頼者自身の判断を尊重し、対応方法を検討していくこと。これに尽きるのではないでしょうか。