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2018年06月25日 09時58分

意外な犯罪「礼拝所不敬罪」…寺で大暴れ、墓地でヌード撮影、御神体の滝でロッククライミング

意外な犯罪「礼拝所不敬罪」…寺で大暴れ、墓地でヌード撮影、御神体の滝でロッククライミング
写真はイメージです(KOHEI 41 / PIXTA)

茨城県茨城町の寺で大暴れした檀家の男性が6月6日、逮捕された。朝日新聞によると、男性は5月、読経の際に使う直径60センチの仏具(「けいす」と呼ばれる鉢状のもので、叩いて音を出す)を叩いてへこませた後、男性僧侶の胸ぐらをつかんで投げ飛ばしたという。檀家の男性は礼拝所不敬と器物損壊、傷害の疑いで逮捕された。

聞きなれない「礼拝所不敬罪」だが、近年では著名な写真家が都内の墓地でヌード撮影を行い、罰金30万円の略式命令を受けている。一体、どのような犯罪なのだろうか。刑事事件に詳しい伊藤諭弁護士に聞いた。

●「神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所」に対して公然と行う不敬な行為

そもそも、「礼拝所不敬罪」とは?

「礼拝所不敬罪とは、『神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為』をすることです。6月以下の懲役もしくは禁錮、または10万円以下の罰金とされています(刑法188条1項)。神祠(しんし)とは、神道により神を祭った場所をいいます」

今回は仏教寺院で行われたため、「仏堂」に対する犯罪容疑となるが、「公然と不敬な行為」とはどのような行動にあたる?

「『公然と不敬な行為』とは、不特定または多数の者が認識することができる状態で、神聖や尊厳を害する行為のことをいいます。この罪は、『言語』や『動作』などでも成立します。『言語』というのは、たとえば侮辱的な言葉を浴びせるといったことです。

例えば、お墓に対して放尿するような格好をした行為や、墓石を転落させる行為などで、同罪の適用を認めています。また、墓地で十字架の墓標を引き抜いて持ち、Facebookに写真を投稿した事例もありました」

●「ひめゆりの塔」で火炎瓶、著名写真家が墓地でヌード撮影…

これまでに、礼拝所不敬罪は意外な事件でも適用されている。

・1975年7月、沖縄県糸満市の「ひめゆりの塔」で天皇皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)が供花したところ、男2人が火炎瓶や爆竹を投げつけた事件で、礼拝所不敬罪などで実刑判決を受けた。

・2010年5月、著名な写真家が東京都港区の都立青山霊園内で、女性モデルのヌード写真を撮影したとして、礼拝所不敬罪などで略式起訴された。

・2011年8月、東京都千代田区の靖国神社に対する抗議行動で、祭祀業務を妨害したとして、台湾の立法委員(国会議員)を礼拝所不敬罪の容疑などで書類送検している。

・2012年7月、世界遺産で国名勝である和歌山県那智勝浦町の「那智の滝」で、御神体の滝でロッククライミングをしたとして、若手登山家3人が礼拝所不敬罪の容疑などで書類送検された。

(弁護士ドットコムニュース)

伊藤 諭弁護士
1976年生。2002年、弁護士登録。神奈川県弁護士会所属(川崎支部)。中小企業に関する法律相談、交通事故、倒産事件、離婚・相続等の家事事件、高齢者の財産管理(成年後見など)、刑事事件などを手がける。趣味はマラソン。
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