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2016年05月18日 07時18分

舛添知事の名前をかたって「本やCD」を勝手に送りつけ、犯罪ではないのか?

舛添知事の名前をかたって「本やCD」を勝手に送りつけ、犯罪ではないのか?
写真はイメージです

政治資金の私的流用疑惑に批判が集まる舛添要一東京都知事だが、その名前をかたって、ネット上でシューマイや書籍などを発注される被害にあっていた。

報道によれば、シューマイ店には980円の品物50点分が都知事の名前で注文され、店側の問い合わせで発覚した。また、都庁に舛添氏が発注とされる「本、CD、DVD」と書かれた箱が届いたが、箱ごと返還したそうだ。

こうした「勝手な送りつけ」は、どのような罪に問われるのだろうか。また、もし身に覚えがない商品を送りつけられた場合、どのような対応をすれば良いのだろうか。濵門俊也弁護士に聞いた。

●「偽計業務妨害罪」に問われ得る

ネット上では、「本当になりすましなのか」「また政治資金として処理するつもりではないのか」などと皮肉った意見もありました。しかし、ひねくれず素直に事案を検討してみましょう(「ひにくった」と「ひねくれた」をかけたダジャレです)。

まず、勝手に送りつける行為は、軽犯罪法第1条第31号の「業務妨害の罪」が考えられます。しかし、想定されるのは、それほど悪意のない一時的なたわむれや、いたずらで業務を妨害する行為です。

今回のように、都庁職員が対応に追われ業務執行が一時停止し、店側としても無用な配達を強いられ、代金ももらえないなどの被害がある場合は、一時的なたわむれとはいえないでしょう。

そこで、本件の行為は、「偽計業務妨害罪」(刑法第233条)に問われ得ることとなります(【参照条文】刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)「虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」)。

「偽計」とは、人をあざむき、誘惑し、あるいは他人の錯誤や不知を利用する違法な行為です。

今回の事件でいえば、被疑者がインターネットでウソの注文という「偽計」を用いて、シューマイや書籍などを配送させたことで、店側の通常の業務を妨害した罪ということになります。また、無用な事務の処理に追われた都庁職員らの業務(公務)まで妨害したこととなります。

嫌がらせにしろ、いたずらにしろ、ウソの注文などはしてはいけません。かりに、ほんの出来心や義憤に駆られたものであったとしても、その行為、犯罪になるかもしれません。お気を付けください。

●身に覚えがない商品を送りつけられたら?

嫌がらせをされた都知事側は、注文していないので、シューマイや書籍などを受け取る必要はありませんし、代金を支払う義務もありません。そもそも、「売買契約」が成立していないので、受け取っただけでは契約は成立しませんし、代金の支払義務もありません。

かりに、商品を受け取ってしまった場合、「返品は認めません」とか、「返品しない場合は代金をいただきます」というようなことが書いてあったとしても法的には無効です。

ただし、この時点では商品は自分のものではありません。商品の封を開けて使用したり、必要ないからといって処分してしまうと、購入する意思があったとみなされるおそれがあるので注意が必要です。

ちなみに、「特定商取引法」には、商品の送付があった日から数えて14日間を過ぎれば、送り付けた業者は商品の返還を請求することができなくなると定められています。よって14日間を過ぎれば、商品は使用しても処分しても自由、ということになるのです。

とにかく、まずは注文した覚えのない商品は受け取らない、代金は支払わないことが大切です。

(弁護士ドットコムニュース)

濵門 俊也弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えている。依頼者の「義」にお応えしたい。
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