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「甘利氏疑惑」真逆の論調で報じた文春と新潮ーー締めの言葉はどちらも「ゲスの極み」
甘利明・経済再生担当大臣の記事が掲載された週刊文春と週刊新潮

「甘利氏疑惑」真逆の論調で報じた文春と新潮ーー締めの言葉はどちらも「ゲスの極み」

建設会社からの違法献金疑惑を報じられた甘利明・経済再生担当大臣は1月28日夕、報道された事実について釈明する記者会見を開く。この騒動のきっかけとなる告発記事を出した「週刊文春」は、同じ日の発売号に第2弾の記事を掲載した。「甘利大臣事務所の嘘と『告発』の理由」というタイトルの記事だ。

その記事は、第1弾と同じく、UR(都市再生機構)への「口利き」の見返りとして、甘利大臣やその秘書たちに現金を渡したという一色武氏の証言を中心に構成されている。千葉県の建設会社の総務担当者だったという一色氏が、なぜ甘利事務所側に現金を渡したのか、そして、なぜ現金授受の事実を公表しようと決意したのかという背景が、詳細に語られている。

●告発の動機に疑問を投げかけた週刊新潮

「いくら彼らを接待し、金を渡しても、URとの交渉はいつまでたっても前に進まない。私にも我慢の限界があります。もう甘利事務所とは決別することにしたのです」

週刊文春は、このような一色氏の言葉を紹介しながら、今年1月に一色氏から録音やメモなどの詳細な記録の提供があったことを明かしている。

一方、週刊文春のライバル誌である「週刊新潮」も同じ1月28日の発売号で、甘利大臣の問題を取り上げたが、その論調は文春と正反対だった。「『甘利大臣』を落とし穴にハメた『怪しすぎる情報源』の正体」というタイトルの記事で、一色氏のプロフィールや告発の動機に疑問を投げかけたのだ。

「一色氏は甘利氏に2度にわたり、現金を50万円ずつ渡したと証言するが、その際、事前に現金をコピーしている。これが証拠といわんばかりだが、この用意周到な行動は異様というほかなく、意図があったことは明らかだ」

このように、一色氏が詳細な記録を残していた意図を疑いながら、週刊文春との関係にも矛先を向けた。「甘利氏の秘書へ現金を手渡す現場を、文春のカメラマンに撮影させている。おとり捜査のような取材を了解した裏にも同じ意図が浮かび上がる」

●「まさしくゲスの極みというほかあるまい」

ただ、このような新潮の報道は、文春も予想していたようだ。1月28日号の誌面では、「異例ではあるが」と断りながら、現金授受の場面をどのようにして撮影したのかという「取材経緯」を説明した。それによると、昨年8月からの長期にわたる裏付け取材の中で、甘利事務所の秘書らが毎週訪れる喫茶店で張り込みをして、決定的瞬間の撮影に成功したのだという。

さらに、週刊文春は、甘利大臣の地元事務所の所長の発言を詳しく紹介しながら、「甘利事務所の行為が単なる『問い合わせ』ではなく、『口利き』であることを物語っている」と記した。そして、記事の最後を次のような言葉で結んだのだ。

「国民の血税から多額の給与を受ける国会議員とその公設秘書が、権力を金に換えていたとすれば、これまさしくゲスの極みというほかあるまい」

これは、週刊文春自身が1月初めに不倫疑惑を報じた「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音さんのスキャンダルにひっかけた形の締めの言葉だ。いまや「ゲスの極み」は流行語となっているようで、甘利大臣を擁護するような記事を掲載した週刊新潮も、文春と似た一文で記事を締めくくっている。

「甘利氏らの脇の甘さには呆れるばかり。『ゲスの極み』と言わざるをえない」

この奇妙な一致は、TOKYO MXテレビの情報番組「モーニングクロス」でも話題となり、堀潤キャスターは「みんな、乗っかりすぎでしょう」と苦笑していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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