「困っている人を助けたい」その思いを胸に、刑事事件、離婚事件、外国人事件に取り組む
小学生の頃から弁護士を目指していた
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
きっかけとなる特別な出来事があったわけではないのですが、小学生の頃には将来は弁護士になりたいと考えていました。今にして思うと、高校の教師をしていた父から正義について話を聞くことが多かったので、子ども心に正義を貫くことができる職業に就きたいと思っていたのかもしれません。
大学に入ってすぐに司法試験の勉強を始めました。もともとものごとを論理的に考えることが好きなので、法律を学ぶことは苦ではなかったです。司法試験に合格するまでは苦労もありましたが、ともに合格を目指す仲間と励まし合い、やりとげることができました。
ーー注力している分野を教えてください。
刑事事件と離婚問題に注力しています。
刑事事件が民事事件と違うところは、手続きの期限が定められていることです。
民事事件には解決まで何年もかかる事件がありますが、刑事事件は逮捕、勾留、裁判と限られた時間とフェーズの中で結果を出す必要があります。弁護士の力量が試され、努力した分だけ成果として現れると感じているので、やりがいを感じます。
離婚問題は依頼が多いことから自然と注力するようになりました。労働問題などで相談に来る方は、解決の見通しによって依頼するかの判断をする方が多いのですが、離婚の場合は別れたいという気持ちを持って相談に来る方が多いので、受任率が高いのだと思います。
離婚事件は当事者の感情を尊重することが大切なので、刑事事件とは対照的にじっくり腰を据えて取り組んでいます。
無罪判決を勝ち取った外国人刑事事件
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者の不安を取り除くことを第一に心がけています。相談者の中には、問題を起こしてしまい、逮捕されることに怯えて相談に来られる方もいます。まずはしっかりと話を聞き、対応策を話すことで不安を払拭してもらいます。
刑事民事問わず、「先生に相談しただけで気持ちが軽くなった」と言われる方も多いので、コミュニケーションは大切にしています。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
初めて無罪判決を取った事件はとても印象に残っています。
ベトナム人男子留学生が、アルバイト先のコンビニで男子児童に卑わいな言動をした容疑で逮捕された事件でした。
留学生はコミュニケーションのつもりで児童のお尻を軽くたたいたのですが、児童が近くの交番に被害を訴えたために逮捕されたのです。
私が依頼を受けたのは逮捕から2ヶ月ほど経った頃でした。妻がベトナム人で、ベトナム人支援のNPO法人に所属していたため、縁あって相談を受けたのです。
接見で会った留学生からは精神的に追い詰められていました。無理もありません。留学生にしてみれば軽い気持ちで取った行動ですし、警察に連行されたときも「注意されて終わりだろう」と思っていたのが、2ヶ月近く身柄を拘束されていたわけですから。
私はすぐに保釈請求をしました。所属していたNPO法人に身元引受人になってもらい、国外に出ないようパスポートを預かるという条件で保釈を認めてもらい、裁判に臨みました。
争点は、留学生の行動が卑わいに当たるか否かでした。防犯カメラの映像から、たたいている事実は認められます。もしも容疑が暴行罪だったら、起訴にはならないだろうと思える程度の軽いものです。
結局のところ、言葉の壁が事件を複雑にしたんだと思います。「子どもが可愛い」という言葉に性的嗜好が含まれるのか、通訳を介してだと微妙なニュアンスが伝わらなかったのではないでしょうか。
最終的に無罪となったものの、判決が出るまで半年ほどかかりました。無罪判決を初めて取れた喜びだけでなく、冤罪事件の怖さや外国人事件の難しさも感じた事件でした。
偏見のない社会の実現に貢献したい
ーー趣味や休日の過ごし方を教えてください。
休日はもっぱら妻とすごしています。ベトナム語通訳者のすすめでベトナム旅行をしたときに、現地でガイドをしていた妻と出会いました。「趣味は妻」と言っても過言ではないくらい、仕事以外では妻と一緒にいます。ベトナムには旧正月を祝う風習があるので、今年も部屋に飾り付けをしたり、お年玉を渡し合うなどしてお祝いをしました。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
困っている人を助けたいという気持ちが根底にあるので、どのような分野であっても、助けたいと思える人を助けられる仕事がしたいと考えています。
縁あってベトナム人との交流も増えたので、外国人問題にも取り組んでいきたいと思っています。SNSなどを見てると、外国人犯罪が報道されると「外国人は怖い」という意見が溢れ、入管問題や技能実習生など外国人被害者の報道が出ると「外国人がかわいそう」という意見が溢れます。
そうした意見を目にするたびに偏見を感じ、根底にある外国人差別を感じます。相互理解が深まれば「外国人だから」という発想はなくなるのではないでしょうか。
日本人、外国人という隔たりのない社会の実現に貢献したいと考えています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
相談するだけで気持ちが楽になったり、問題が解決することがあると思います。実際に電話相談をしてくれた人から「不安な気持ちが晴れました」と言ってもらえたこともあります。悩みを抱えているならば、まずは相談してください。