「被害者が適切な賠償を受けられるように」長年のキャリアで培った経験と知識、特に交通事故分野に強み
「社会問題を解決できる仕事に携わりたい」
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
私が学生の頃は、社会的な問題に対してどのように向き合っていくかを問われる時代でした。
そうした中で公害問題や消費者問題など、さまざまな社会的問題を法律によって解決できると感じ、社会問題を解決できる仕事に携わりたいという考えから弁護士を目指そうと決意しました。
ーー注力している分野と、注力している理由についてお聞かせください。
交通事故はこれまでに多くの事案を扱ってきた経験があり、得意分野であることから注力しています。基本的には、被害者側の依頼を受けています。
交通事故の中には当事者双方の主張が食い違うことがあります。場合によっては、本来は被害者であるべき人が加害者にされてしまうようなケースもあります。また、高次脳機能障害のような本人ですら気づかない障害は、被害者は適切な後遺障害等級認定を受けられないまま生活することになります。
こうしたケースで、被害者が不当な扱いを受けることがないように、適切な賠償を受けられるようにサポートすることにやりがいを感じています。
ーー交通事故で被害者が加害者にされてしまうのはどのようなケースがあるのでしょうか。
以前担当した事件で、依頼者の乗った車が対向車と衝突した事故の過失割合が争われたケースがありました。
依頼者はセンターラインを越えて進入してきた対向車に正面衝突され、意識不明の重体になりました。幸い意識は取り戻したものの、事故の記憶を失っていたため、警察は相手方の証言に沿った形で事件処理を行いました。
車の衝突位置など、状況からしたら相手に過失があることは明らかな事故でした。それにもかかわらず、「依頼者が先に運転ミスをして、避けようとしたらぶつかってしまった」という相手方の証言により、依頼者の方が加害者と判断されたのです。
その後、刑事事件は不起訴となりましたが、民事裁判でも、相手方は依頼者の過失が100パーセントだと主張してきました。私は実況見分調書を元に相手の証言の矛盾をつき、相手の主張を覆すことができ、相手方に100%責任があるとの判決を得ることができました。また、刑事事件でも検察審査会で起訴相当と判断され、相手方は有罪(罰金刑)となりました。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者の話を最後まで丁寧に聞くことです。たとえ法的な争点を探る上で関係ないような話であっても、話を遮ったりすることはしません。話の本筋ではないところに重要な事実が隠されていることもあるからです。
ーー弁護士として活動してきた中で印象的だったエピソードを教えてください。
パワハラ被害を受けた女性の代理人として、会社に対して損害賠償を求めた事件が印象に残っています。依頼者は精神的に追い詰められていて、日常生活もままならない様子でした。
パワハラ被害は当事者にしかわからないことが多く、「誰も助けてくれない」と周りがすべて敵に見えてしまうこともあります。そのため、当初は私に対しても攻撃的な態度を取るほどでした。
最終的には裁判を通じて和解が成立し、労災認定もされました。私が何よりもうれしかったのは、依頼者の精神的な回復が見られたことでした。精神科に通うこともなくなり、晴れやかな表情を浮かべる依頼者を見て胸が熱くなりました。
弁護士として生き方を全うしたい
ーー趣味や休日の過ごし方について教えてください。
映画が好きでよく見に行きます。大きな映画館よりもミニシアターに行くことが多いです。ホロコーストの裁判など、実話を元にした弁護士が活躍する映画が好きですね。
アメリカの裁判映画は証人尋問の行い方などとても勉強になります。『評決』という医療過誤を題材にしたポール・ニューマン主演の映画では、弁護士になる前と今とで見る視点が変わっていたのが自分でも面白かったです。
ーー今後の展望についてお聞かせください。
今後も一つ一つの事件を丁寧に対応していきたいと思っています。
これまで、石炭じん肺訴訟、住基ネット違憲訴訟などの集団訴訟の弁護団に参加し、弁護士としての生き方を学ぶことができました。残りの弁護士としての人生の中で一件でも多く、社会的な問題に関わる事件に携わりたいと思っています。
ーー法律トラブルを抱えていて、悩んでいる方へのメッセージをお願いします。
以前よりは低くなっていると思いますが、弁護士に相談することに敷居の高さを感じている人がまだまだ多いように感じます。早めに相談した方が解決の選択肢も多いですし、費用の不安については法テラスなどもあるので、一歩踏み出して相談していただけたらと思います。