
債務整理の相談実績3000件以上 それぞれの依頼者に最適な解決策を見極める「遠慮なく、早めに相談を」
文学部に在籍しながら司法試験を受験
ーー弁護士を目指した経緯を教えてください。
実家が自営業で、サラリーマンとして働くイメージが全く持てなかったんです。大学には進学したものの、卒業したあと何をすればいいのか全然思い浮かばなくて。
進路に迷っていた頃、司法試験の合格者数が増加傾向にあることを知りました。大学の近くにも司法試験予備校が多かったので、挑戦してみようかなと思い、大学3年生の秋頃から予備校に入って基礎講座を受けはじめました。
1年くらい勉強して、旧司法試験の短答式試験に合格しました。1年で合格したので、その先の試験にもいずれ受かるだろうと思って勉強を続けました。
ーー大学時代は、法学部ではなく文学部だったのですね。
はい。受験するときに法学部と文学部で迷い、最終的には文学部に進学しました。でも、法律にもずっと興味を持ち続けていました。
2年生までは文学部の授業に出ていましたが、単位を全て取り終えてからはほとんど法律の勉強しかしていなかったです。できるだけ早く司法試験に合格したかったので、サークルにも入らず、勉強に打ち込んでいました。
債務整理を柱に幅広い案件に対応
ーー注力分野と、その分野に注力している理由を教えてください。
案件として多いのは債務整理です。独立前に所属していた事務所が債務整理に注力していて、在籍中にかなりの件数を経験しました。処理に慣れていることもあり、今でも多くの案件を手がけています。
債務整理以外にも、離婚などの家事事件や、残業代請求、性犯罪被害の慰謝料請求など幅広い事件を扱っています。不当な金銭請求を受けている人からの相談も受けています。たとえば、勤務先から罰金の支払いや損害賠償を請求されたようなケースです。
ーー債務整理について、3000件以上の相談実績があると伺いました。
前の事務所で、自分が相談を担当した事件を検索できるシステムがあり、集計してみたんです。もちろん、受任しなかったものもありますが、法律相談の実施件数としてはそのくらいの数になります。
多くの案件を担当する中で、さまざまなケースを見てきました。任意整理をしたけれど、支払えなくなって結局自己破産に方針変更することになった人もいました。相談内容を聞けば、その方にとってどういう解決策が一番いいかはだいたいわかります。
こまめに進捗を共有し、依頼者を不安にさせない
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
依頼者が連絡しやすい体制をとることです。依頼を受けた後は、主にLINEでやりとりしています。LINEであれば、アドレスを入力したりする手間がないので、依頼者にとってはメールよりも連絡しやすいと思います。「忙しいのに、こんなことを聞いたら申し訳ないな」とためらわずに、小さなことでも気軽に連絡してほしいので、LINEを活用しています。
依頼者に対しては、私からもこまめに連絡するようにしています。自分の事件が今どうなっているのかわからないと不安だと思うので、なるべく進捗をお伝えすることを心がけています。
事件によっては進み具合が遅いケースもあるので、その場合はあらかじめ「この事件はなかなか進みませんよ」「私からはあまり連絡できないかもしれませんが、何かあったら遠慮なく問い合わせてください」とお伝えしています。
一般の方には、法律的な手続きの時間感覚がよくわからないと思うんです。たとえば交渉でも、相手方からの回答を1週間待つことは普通にあり、2〜3週間待つことも多いです。ただ、相談に来られる方の中には、もっとトントンと話が進むと思っている方もいます。認識のズレを埋めるために、スケジュール感覚の共有はしっかりするようにしています。
ーー弁護士として活動をしてきた中で、印象に残っているエピソードを教えてください。
「もっと早く弁護士に相談してくれれば…」と思ったケースです。
たとえば、不倫の慰謝料請求をされて、相手と示談してしまってから、「やっぱり高すぎると思う」ということで相談に来た方。示談書を作っていても、再交渉して和解しなおせることもありますが、書面にサインしていると当然不利になってしまいます。示談する前に相談に来てくれていれば…と思いました。
あとは、先ほど債務整理の相談を多数手がけてきたと言いましたが、よくいらっしゃるのが、他の方に比べて借金の額が全然多くないのに深刻に悩んでいる方です。500万円とか800万円の借金があって、「こんなに借金がある人はなかなかいないですよね」と言われるんですが、全くそんなことないんですよ。それぐらいの借金を作って相談に来る方はざらにいます。自分だけが「解決不能な状態に陥ってる」と思い込んでいて、弁護士に相談すれば解決することがほとんどです。遠慮なく相談にきていただきたいなと思っています。
弁護士に相談して解決することは、思った以上に多くある
ーープライベートについても伺います。休日の過ごし方や趣味を教えてください。
子どもが生まれたばかりなので、休日はほとんど家にいて子育てしています。
これといった趣味がなくて。漫画を読むぐらいですね。最近読んで面白かったのは、『正直不動産』。本当のことしか言えない体質になってしまった不動産営業マンが主人公の漫画です。
ーー今後の展望を教えてください。
事務所としては今の規模のままで、拡大することは考えていません。引き続き、目の前の事件に丁寧に対応していきたいです。
あとは、労働事件にもっと詳しくなれたらいいですね。司法試験も労働法選択で、労働法という法律自体はすごく好きなんです。ただ、今まであまり労働事件を手がけてこなかったので、これから経験を積みたいと思っています。
ーー最後に、トラブルを抱えて悩んでいる方へのメッセージを一言お願いします。
まず、弁護士に相談したら必ず依頼しなければならないと思っている方が結構いますが、それは誤解で、相談だけでも全く問題ありません。遠慮なくお問い合わせいただきたいです。弁護士に相談・依頼して解決することは、皆さんが思っている以上に多くあります。
ただ、弁護士によって得意な分野とそうでない分野があるので、自分が悩んでいることに詳しい弁護士を選んでほしいです。1人の弁護士がやれる事件って、そんなに多くないんですよ。弁護士に相談すればどんな悩みでも的確な回答を得られるかというと、必ずしもそうではありません。「この分野に強いです」「力を入れています」という弁護士を探した方がいいと思います。
ーー自分が悩んでいる分野に注力している弁護士を探して、実際に会って話してみることが大事なんですね。
はい。手間はかかりますが、自分に合った弁護士と出会うためには足を使って探すことが一番です。
注意してほしいのは、弁護士から請求書や内容証明が来たとか、裁判所から何か書類が届いたような場合です。そういう通知が来た場合、じっくり弁護士を選んでいる余裕はありません。すぐに弁護士を探して、とにかく早く相談することをお勧めします。自分で対応・対処しようとは思わないほうがいいです。ここだけは気をつけていただければと思います。