依頼者一人ひとりに心の休息と安心を。流山に根ざし、離婚や親権など家族の問題に注力
目の前で困っている人の味方となり、まっすぐ向き合う
ーー弁護士を目指したきっかけや理由を教えてください。
もともと私は弁護士志望ではなく、検察官になりたいと考えていました。刑事事件や犯罪に関心があり、どういう人がどんな理由で事件を起こしてしまうのかを知りたいと思っていたんです。そう考えるようになったきっかけは、小学生の頃に学級崩壊を経験したことが大きいかなと思っています。説明が難しいのですが、社会とは何か、正義とは何か、そういう問いに出会ってしまったことは、今の私の生き方に、大きな影響を与えていると思います。「刑事事件に携われる仕事はなんだろう」と考えたときに、検察官という職業を知り、法学部に在籍していたこともあって、目指してみようと思い立ちました。
弁護士に進路を変えたのは司法修習中です。裁判官・検察官・弁護士それぞれの実務を学ぶ中で、自分がなりたい姿は検察官ではなく弁護士だと気づきました。検察官は公益の代表者であり、特定の誰かの味方という立場ではありません。一方で弁護士は、もちろん社会正義のために働く職業ではありますが、今目の前で困っている人の味方となって、まっすぐその人に向き合えます。誰のために仕事をするかがはっきりしている点が、自分の性格に合っていると感じたんです。
また、司法修習でお会いした弁護士の先生方が、プロフェッショナルであるというだけでなく、人としても心から尊敬できる方々だったということも、弁護士に惹かれた理由の1つです。「個」を尊重する文化があり、こうあるべきと押し付けられることがないーーそんな息のしやすさも、私にとって大きな魅力でした。
ーー大学時代はどのように過ごしていましたか。
演劇サークルに入っていました。演劇は中学時代に始めて、高校・大学と長く続けていました。どちらかというと、自己表現が苦手なタイプだったので、役を通して感情を表に出せることが楽しかったのだと思います。
演劇の世界という多様な価値観の人が集まる場所で、様々な考え方やバックグラウンドに触れられたこともいい経験になりました。自分とは価値観が違う人とも、お互いの存在を認め合いながら、一つの作品を作り上げる作業ができたことは、今の仕事にも活きていると思います。
ーー東京の法律事務所での勤務を経て、2025年4月に流山市で事務所を開設されました。
出産を機に流山へ引っ越し、しばらくは流山から東京の事務所に通勤していたのですが、子どものことを考えると、通勤時間を短縮したいという気持ちがずっとありました。
また、素朴な憧れとして、「この町の弁護士」と言える存在になりたかったことも理由の1つです。自分が住んでいる場所に何かを還元できるような、いわゆる町弁に憧れていて。東京でも町弁ではあったのですが、千代田区という弁護士がとても多いエリアで働いていたので、地域との繋がりを感じる場面はあまりなかったんです。
また、少年事件や親権問題など、子どもの権利に関する事案も手がけてきたため、子どもが多い流山でお役に立てるのではないかと考え、次のステージとしてここで事務所を開設しようと決めました。
今は女性からの離婚の相談が多く、流山に限らず柏や松戸のほうに住んでいる方からも相談を受けますし、茨城から来られる方もいます。「先生と話せて、ようやくホッとできました」といった声をいただくと、やはり弁護士へのアクセスはまだハードルが高いのだと感じます。
流山は人口に比して弁護士の数が少なく、女性弁護士となるとさらに選択肢が限られます。当事務所に辿り着いてくださった方との縁を大切に、少しでも不安が和らぐようサポートできたらと思っています。
ーー事務所のロゴは、ミモザの花をモチーフにしているのですね。
私自身が好きな花であることと、国際女性デーとの結びつきが深いことから、事務所のシンボルに選びました。
実は弁護士になるまで、国際女性デーの存在も、ミモザの花がその象徴であることも知りませんでした。それはつまり、私自身が性差を意識せずに生きてこられたからです。しかし、仕事を始めてから、女性であるだけでこんなに大変な思いをするのかと自分の経験でも感じましたし、依頼者から離婚やDVの話を聞いていても、女性ならではの苦しさを痛感します。もちろん、女性の相談だけを受ける事務所ではないですが、何かシンボルを置きたいと考えたときに、ミモザの花に希望のようなものを感じたんです。
ロゴは学生時代の友人のデザインで、ミモザをモチーフに色合いはこんな感じで…とイメージを伝えたら形にしてくれました。また、仕事のときだけミモザのブレスレットをつけています。事務所のシンボルをミモザにしようと決めた後に、たまたま見つけて一目惚れしました。「頑張ろう」という気持ちをこめて、愛用しています。

依頼者が自分の足で前に進めるようサポート
ーー注力している分野と、その理由を教えてください。
離婚・親子問題です。これまで多くの案件を手がけてきましたし、ニーズも高いため、より勉強して専門性を磨きたいと思っています。家族の問題は、法律的にも複雑ですし、どうしても感情と切り離せない面があります。だからこそ、自分一人で解決することが難しく、弁護士として携わる意義を強く感じます。
また、数はまだ少ないのですが、今後力を入れたいのが子どもの手続代理人の案件です。これは、親子交流や親権者変更など、子ども自身に関わる家庭裁判所の手続きにおいて、父親や母親の代理人ではなく、子どもの代理人として弁護士が活動できる制度です。今行われている手続きの内容をわかりやすく説明したり、子どもの意見や気持ちを裁判所や親に伝える役割を担います。
子どもに関することを決めるにあたって、もっと子ども自身の意見を聞いてもらえる社会になるべきだと私は思います。親に言いたいことがあるけど自分からは言えないなど、サポートを必要としているお子さんがいたら力になりたいです。
ーー仕事をする上で心がけていることを教えてください。
2026年で弁護士13年目になり、その時々で大事だと思うことは変化しているのですが、今思っているのは「依頼者本人の選択を支援する」ということです。
やや抽象的ですが、私が引っ張ったりどこかへ連れて行ったりするのではなく、その方が自分の足で前に進むための一つのツールとして、私を使ってほしいと思っています。
依頼せず、法律相談だけで終わるケースも多くあります。本人にある程度「こうかな」という考えがあれば、弁護士という専門家から「それで大丈夫ですよ」「少し違うかもしれません」「こういうものも用意しておくといいですよ」などとアドバイスをもらうことで、選択に自信を持って踏み出せる。それは立派な弁護士の使い方だと思います。
ーー依頼者とのコミュニケーションで意識していることはありますか。
選択肢とその結果を丁寧に説明することです。「Aを選ぶとこうなります」「Bはこういう負担はあるけどメリットもあります」「Cはここさえ我慢すれば、ご意向に一番近いです」。納得した上で判断できるように、それぞれの選択肢のメリットやデメリット、予想される未来をなるべく詳しく説明することを心がけています。
その上で私の考えも話しますが、押し付けたくはないと思っています。例えば、依頼者が「苦しい状況になる可能性があっても、子どものためにこの選択をしたい」と思うなら、決断を尊重し、弁護士としてできることを最大限やりたいと思っています。
もちろん、弁護士にできることに限界はありますが、弁護士の法的なサポートを通じて、依頼者自身が自分の選択に自信を持ってもらえたらと思っています。
一人で悩まなくて大丈夫。いつでもご相談ください
ーー印象に残っているエピソードを教えてください。
大切な記憶になっているのは、依頼者と笑い合えた瞬間です。一人ひとりの依頼者を思い出すとき、そんな景色が浮かびます。
事務所の名前を「ルポながれやま」としたのも、そこに理由があります。ルポとはフランス語で、休息や心の安心を意味する言葉です。法律事務所に来る方の多くは深刻な悩みを抱えています。気持ちが張り詰めていて、悩みで頭がいっぱいになり、だんだん笑えなくなってしまう。だからこそ、私と話す中で、「なんだか笑ってしまった」「相談に来たのに今日は全然関係のない話をしちゃったな」というふうに、フッと安心して心がほぐれる瞬間が訪れることが大切だと思っています。
ーー休日の過ごし方やご趣味を教えてください。
休日は主に家事と育児をしているので、休みとは?という感じではあるのですが(笑)。喫茶店でコーヒーを飲むのが好きなので、休日の朝にお気に入りのお店に行って束の間の休息を味わったりしています。裁判の期日が終わって、次の予定までに少し時間が空いたときにも行きます。リフレッシュになりますし、喫茶店という空間自体が好きなんです。静かすぎる所より、人のざわめきがある所の方が落ち着きます。
趣味というほどのことでもないですが、料理が好きです。普段の食事づくりも楽しいですが、たまに子どもと一緒にドーナツを作ったり、餃子を皮から作ってみたりすることもあり、そういうときは、大袈裟かもしれませんが人生の醍醐味を感じます。行事も好きなので、バレンタインデーに子どもとチョコレートを作ったり、七夕には星型に野菜を型抜きをしてみたり。そんな時間が好きですね。
ーー今後の展望をお聞かせください。
家族にまつわる相談には今後も力を入れていきたいです。離婚や親権、養育費、親子交流、子どもの手続代理人もそうですし、子どものことで言えば、学校トラブルやいじめ訴訟の相談も受けているので、お力になれたらと思います。今は子育てとのバランスから、難しいと思っていますが、いつかまた少年事件に関わりたいという思いは強いです。
また、法教育と言うと少し硬いですが、人権という言葉がもっとライトで身近なものになればいいなと思っています。そのために、自分には何ができるだろうか、ということを考えています。
ーー法律トラブルを抱えて悩んでいる方へメッセージをお願いします。
「一人で悩まなくて大丈夫ですよ」と伝えたいです。ずっと1人で抱えていた悩みを弁護士に相談することで、道が開けるケースはよくあります。結果として法律問題ではなかったとしても、別の相談先や解決策を考えるきっかけになります。弁護士に対するハードルを少し下げて、まずは一度相談してみてください。