スカイマーク株式会社が今年5月から航空機に搭載を開始したリーフレット「サービスコンセプト」の内容が、接客業らしからぬ大胆さだとして、マスコミで取り上げられるなど話題となっている。
「客室乗務員は保安要員として搭乗勤務についているため、接客は補助的なものと位置づけている」ことから、機内における過度のサービスはしないというものだ。荷物は乗客の責任において自身で収納すること、乗客に対して丁寧な言葉遣いを義務づけていないことなどが挙げられている。また、機内での苦情に関しても受け付けない方針で、「ご理解いただけないお客様には定時運行遵守のため退出いただきます」と記載。不満がある乗客は「スカイマークお客様センター」まで申し出なくてはいけない。
このように斬新な内容のスカイマークのサービスコンセプトだが、これまでの航空会社のそれとは大きく異なるゆえか、一部の乗客からは「直接苦情を受け付けないのはおかしい」などの不満の声が上がっているようだ。
それでは、航空会社としてこのようなサービスコンセプトにて運行することは、航空法や国土交通省の認可において問題はないのだろうか。佐藤大和弁護士に話を聞いた。
「サービスコンセプトとしては色々問題があるように思いますが、法的な問題はないかと思います。」
「航空会社と旅客との間では旅客運送契約を締結していて、航空会社は利用者を安全に目的地まで運送する契約上の義務を負います。一方、どんなサービスを提供するかは、基本的に企業の経営判断に委ねられています。」
「つまり、理解できない旅客に退出を求めること、苦情を『お客様センター』へ申し出るよう求めることは、安全な航行を実現する責務を負う航空会社の対応として問題にはなりませんし、過度なサービスを控えてコストを削減することは経営戦略の一つといえるので、法的に問題はないといえるでしょう。」
佐藤弁護士も指摘しているように、このような対応は格安運賃を実現するために必要なコスト削減の手段の一つであり、法的には問題がないといえる。「空の旅」は非日常空間であり、客室乗務員の丁寧な接客が楽しみの一つだという乗客もいるだろう。安さをとるのか、サービスをとるのか。乗客に選択肢を与えたスカイマークの新たな試みに、今後も注目したい。