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アフターピルを薬局で販売すべきか 「最後のチャンス」推進派がパブコメ呼びかけ
画像はイメージです(よっし/PIXTA)

アフターピルを薬局で販売すべきか 「最後のチャンス」推進派がパブコメ呼びかけ

緊急避妊薬(通称アフターピル)の薬局販売(OTC化)に関するパブリックコメント募集が2022年12月27日に始まった。

アフターピルは、避妊に失敗したり性暴力の被害に遭ったりした際に、72時間以内に服用すると妊娠を高い確率で回避するためのもの。なるべく早く服用することで、より高い効果が望めるとされる。

現在は医師の診断後に処方箋を発行してもらわないと入手することができない。OTC化とはOver The Counter(カウンター越し)の略で、医師の処方が必要な「医療用医薬品」を、薬局などで販売できる「要指導医薬品」「一般医薬品」に転用することだ。

パブコメの締め切りは1月31日で、検討会議が課題点など意見をまとめ、厚労省審議会部会に提示する流れとなる。

●推進派は1カ月キャンペーンを展開

1月6日には、NPO法人ピルコン代表の染矢明日香さんらでつくる「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」などがオンラインイベントを開き、より多くの意見を集まるよう呼びかけた。「政府や検討会に声を届ける最後のチャンスになるかもしれない重要な機会」と位置付けているという。

同プロジェクトは女性が健康を守るために、安心して適切かつ安全に、アフターピルにアクセスできる社会の実現を目指し、2021年5月に厚労省にOTC化を求める要望書を提出している。

サイトに複数の資料をまとめ、考えるための材料を提供し、ツイッターなどでも1カ月間にわたってキャンペーンを展開するという。20万を目標とする署名活動も行っており、1月23日の提出を予定している。

●慎重派「ネット販売に懸念」提言

アフターピルは、世界約90カ国で医師の処方箋なしに薬局で購入できる。日本では他国と比べ価格も6000円~2万円ほどと高額な上、処方箋が必要なため、病院の開いていない週末や夜間、地域によっては入手しにくい状況となっている。

OTC化をめぐっては、2017年にもパブコメが実施されたが、348件(賛成320件、反対28件)だったものの、性教育の遅れや悪用・乱用への懸念などから見送られた経緯がある。

慎重派からは、対面ではなくインターネット販売が可能となることを懸念する声が上がる。OTC化されると、医薬品医療機器法4条5項3号の厚生労働省令で定める期間(原則3年間)の経過後、特段の問題がなければ、要指導医薬品から一般用医薬品へと移行されるためだ。

2022年12月26日には自民党の「地域で安心して分娩できる医療施設の存続を目指す議員連盟」(武見敬三会長)が、慎重な対応を求める提言書を加藤勝信厚労相に提出。日刊薬業の報道によると、アフターピルは女性の権利・健康を保つための「有用な手段」の一つとしながらも、ネット販売は購入者の確認や指導が十分にできるかに「懸念がある」としたという。

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