いわゆる「闇営業」問題をめぐって、お笑い芸人の宮迫博之さんと田村亮さんが謝罪会見を開いたことを受けて、吉本興業は7月22日、東京都内で記者会見を開きました。
宮迫さんは7月20日に開いた会見で、岡本昭彦社長から「お前らテープ回してないやろな」と言われたと明かしましたが、これについて岡本社長は「冗談でテープ録ってんちゃうのんと言った」と弁明しました。
ツイッターでは「驚きの回答」「流石に冗談でもおかしい」「言い訳が苦しすぎ」などと非難が集まっています。
●「録音があった方がもちろんいいです」
また、「私も、お前録音してないだろうな?って言われたことある」「前の会社を退職する時、テープ回してたな…。」「吉本社長から宮迫への『録音してないやろな?』がブラック企業の面談あるあるすぎて草」と会社で同様のことを言われた人もいました。
こうした会社とのやりとりの場面では、秘密でも録音をすべきなのでしょうか。
寺岡幸吉弁護士は「録音がある場合とない場合では、そのような内容の発言があったという主張が真実かどうかという判断に大きな影響を与えます。録音があった方がもちろんいいです」と話します。
「私が担当した事案でも、録音がないために立証が出来ず、悔しい思いをしたことは何度もあります。ですから、できる限り録音はするべきです。
しかし、録音が無いから、立証できる可能性が全くないとも言えません。客観的な証拠との整合性などから、立証に成功する場合もあります」
●こっそり録音、裁判でも証拠として有効
こっそり上司の言動を録音した場合、裁判の証拠として有効なのでしょうか。
寺岡弁護士は「私自身、パワハラの裁判などで無断録音を証拠として提出したことは何度もありますが、その証拠能力が争いになったことはありません」と言います。
「『証拠能力』とは、訴訟において証拠として取り扱うことができるかどうかというものです。一方、『証拠力』『証明力』とは、証明しようとする事実の証明にどの程度役立つかというものです。
民事訴訟の場合、証拠能力には原則として制限はありません。例外的に、話した人の人格をひどく傷つけるような手段で取得した証拠や、秘匿する必要性が特に高い証拠などは証拠能力がないとされる可能性があります。
また、上司が何者かに発言を誘導されたなどの事情がある場合は、証拠力・証明力が低いと評価される可能性がありますが、自発的に発言をしているのであれば、証拠力・証明力が問題になることはないでしょう」