元号が平成から令和に変わるタイミングで、「10連休」になる人は多いだろう。オフィス街などで飲食店を営む人からしたら、たまったものではないだろうが、新入社員が連休明けにしっかり「社会復帰」できるのかという問題もある。
4月に入ってから、Twitterでは新入社員のバックレ情報が飛び交っている。「電話に出たくないことを理由に新入社員バックレ。なぜ事務職を選んだ」「忙しすぎて急に泣き出し、途中で帰ったらしい。次の日からバックレ」「配属された新人くんは初日からバックレ」ーー。
なんとか4月を乗り切って連休に突入しても、緊張の糸が完全に切れてしまい、職場に連絡しないまま「バックレ退職」をする人が出てきてもおかしくない。「バックレ退職」をすると、どのような問題が生じるだろうか。原英彰弁護士に聞いた。
●「バックレ」退職で訴訟に発展する可能性も
「損害額がそれほど高額になるとは思えませんが、『バックレ退職』してしまうと、雇用主から損害賠償請求される可能性がありますし、無用の紛争を招くことになります」
原弁護士はこのように答える。バックレ退職で訴えられる可能性はどのくらいあるのだろうか。
「実際には、損害額がそれほどの金額にならないであろうことや『バックレ』の合理的理由が争点になりうることから、訴訟になることは考えにくいと思います。しかし、見せしめ的に訴訟提起をしてこないとも限りません。
どうしても辞めたくなったときは、『辞めます』ときちんと意思を伝えてから、できれば証拠が残るように文書で、出勤を拒否しましょう」
●法律的に正しい辞め方とは?
では、法律的にどういう辞め方が正しいのだろうか。
「まず、アルバイトや契約社員など、期間の定めのある雇用契約ですが、期間満了前に『次の契約期限が来たら辞めます』と言えば、法的には問題なく退職することができます。
仮に期間中でも、法律上、『やむを得ない事由』があれば、退職することができます。無理なシフトや長時間勤務を『やむを得ない事由』と解する余地は十分にあります。
また、アルバイトは、通常は1カ月から3カ月程度の期間を定めた雇用契約を締結し、期限がくると契約を更新しているというケースが多いと思いますが、この更新後は、辞めたい日の2週間前までに言えばいつでも退職できます」
では、正社員の場合はどうだろうか。
「こちらも辞めたい日の2週間前に、退職の意思表示をしてください。就業規則で2週間以上を設定している企業もありますが、2週間経過すれば、退職の効果は発生します」